古典ライブラリー

万葉集 巻第四 565番

大伴の 見つとは言はじ

賀茂女王(かものおおきみ)

大伴の御津で逢ったとは言うまい。夕日が赤く照る月夜のように、じかに逢ったとしても。逢ったことを秘密にしようという賀茂女王の歌。

月明かりの浜辺で、女性が袖で顔を隠しながら、人目をうかがっている

題詞賀茂女王の歌一首

  1. 1大伴おほとも大伴おほともおおともののの大伴乃
  2. 2見み見みみつつつとととははは言い言いいははわじじじ見津跡者不云
  3. 3あかねあかねあかねさしさしさし赤根指
  4. 4照て照ててれれれるるる月つく月つくつく夜よ夜よよににに照有月夜爾
  5. 5直ただ直ただただににに逢あ逢ああへへえりりりともともとも直相在登聞

引用の仕方

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現代語訳

大伴の御津で逢ったとは言うまい。(あかねさし)照っている月夜に、じかに逢ったとしても。

意訳

明るく照る月夜に、恋人とじかに逢った。それでも、人には決して逢ったとは言うまいと、二人の秘密を守ろうとする歌である。「大伴の御津」の「見つ」に「見た、逢った」をかけている。

語釈・文法注

文法・本文

大伴の見つ
地名の「大伴の御津」(難波の港)に、「見つ(逢った)」をかける。

和歌

作者
賀茂女王(生没年未詳)
長屋王の娘とされる。
出典
『万葉集』巻第四・相聞・565番
歌体
短歌(五七五七七)
時期
第3期(710〜733年(平城京遷都〜山上憶良の没年ごろ))
状況
賀茂女王の歌。

修辞

掛詞
「御津」に「見つ」をかける。

解説

556番で筑紫へ行く大伴三依に贈った歌の作者で、この歌も三依とのかかわりで読む説がある。

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出典

底本
佐佐木信綱編『新訓万葉集』上巻 岩波文庫、昭和2年(1927)、158頁(コマ83)。国立国会図書館デジタルコレクション
原文
佐佐木信綱編『白文万葉集』上巻 岩波書店、昭和24年(1949)、166頁(コマ89)。万葉仮名の原文。国立国会図書館デジタルコレクション
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部
更新日