古典ライブラリー

万葉集 巻第四 556番

筑紫船

賀茂女王(かものおおきみ)

筑紫へ行く船がまだ来ないうちから、もう疎遠になりかけているあなたを見るのは悲しい。筑紫へ赴任する大伴三依に、賀茂女王が贈った歌。

難波の港で、女性が沖を見つめ、そばに立つ男がよそよそしく顔をそむけている

題詞賀茂女王、大伴宿禰三依に贈れる歌一首

  1. 1筑紫つくし筑紫つくしつくし船ぶね船ぶねぶね筑紫船
  2. 2いまだいまだいまだももも來こ來ここねねねばばば未毛不來者
  3. 3あらかじめあらかじめあらかじめ豫
  4. 4荒あら荒あらあらぶるぶるぶる君きみ君きみきみををを荒振公乎
  5. 5見み見みみるるるががが悲かな悲かなかなしさしさしさ見之悲左

引用の仕方

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現代語訳

筑紫へ行く船もまだ来ないのに、前もって、もう心が離れていくあなたを見るのが悲しい。

意訳

大伴三依は筑紫に赴任することになった。まだ出発の船も来ていないのに、三依の心はもう自分から離れてしまったようだと、賀茂女王は悲しむ。

語釈・文法注

文法・本文

荒ぶる
心が離れていく、疎遠になる。

和歌

作者
賀茂女王(生没年未詳)
長屋王の娘とされる。
出典
『万葉集』巻第四・相聞・556番
歌体
短歌(五七五七七)
時期
第3期(710〜733年(平城京遷都〜山上憶良の没年ごろ))
状況
賀茂女王が、大伴三依に贈った歌。

解説

旅立ちの前から心が離れていく恋人を見る悲しみを歌った、繊細な歌である。

関連

出典

底本
佐佐木信綱編『新訓万葉集』上巻 岩波文庫、昭和2年(1927)、157頁(コマ82)。国立国会図書館デジタルコレクション
原文
佐佐木信綱編『白文万葉集』上巻 岩波書店、昭和24年(1949)、165頁(コマ88)。万葉仮名の原文。国立国会図書館デジタルコレクション
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部
更新日