古典ライブラリー

万葉集 巻第四 552番

吾が君は わけをば死ねと

大伴三依(おおとものみより)

あなたは私に死ねとでも思っているのだろうか。逢う夜も逢わない夜も、私は行ったり来たりしている。大伴三依の歌。

夜道を、男が恋人の家と自分の家との間を行ったり来たりしている

題詞大伴宿禰三依の歌一首

  1. 1吾わ吾わわががが君きみ君きみきみははは吾君者
  2. 2わけわけわけをををばばば死し死ししねねねととと和氣乎波死常
  3. 3念おも念おもおもへへえかもかもかも念可毛
  4. 4逢あ逢ああふふう夜よ夜よよ逢あ逢ああははわぬぬぬ夜よ夜よよ相夜不相夜
  5. 5二ふた二ふたふた走はし走はしはしるるるらむらむらん二走良武

引用の仕方

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現代語訳

あなたは、この私に死ねと思っているのだろうか。逢う夜も逢わない夜も、二つの道を行ったり来たりしている。

意訳

恋人は逢ってくれる夜もあれば、逢ってくれない夜もある。そのたびに振り回されて、自分は死にそうな思いをしていると、恋人の気まぐれを嘆いている。

語釈・文法注

文法・本文

わけ
自分をへりくだっていう語。
二走る
二つの方向に走る、迷う。

和歌

作者
大伴三依(?–774)
大伴御行の子。大宰府に赴任したことがあり、のちに参議に近い官に至った。
出典
『万葉集』巻第四・相聞・552番
歌体
短歌(五七五七七)
時期
第3期(710〜733年(平城京遷都〜山上憶良の没年ごろ))
状況
大伴三依の歌。

解説

「わけ」という自称の語が珍しい。逢えたり逢えなかったりする恋の苦しさを、ユーモラスに誇張している。

関連

出典

底本
佐佐木信綱編『新訓万葉集』上巻 岩波文庫、昭和2年(1927)、157頁(コマ82)。国立国会図書館デジタルコレクション
原文
佐佐木信綱編『白文万葉集』上巻 岩波書店、昭和24年(1949)、164頁(コマ88)。万葉仮名の原文。国立国会図書館デジタルコレクション
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部
更新日