古典ライブラリー

万葉集 巻第四 530番

赤駒の 越ゆる馬柵の

聖武天皇(しょうむてんのう)

赤駒が越えようとする馬柵をしっかり結ぶように、固く約束を結んだあなたの心は、疑いようもない。聖武天皇が海上女王に贈った歌。

牧場の柵を赤毛の馬が越えようとしていて、その柵にしっかりと縄が結ばれている

題詞天皇、海上女王に賜へる御歌一首

  1. 1赤あか赤あかあか駒ごま駒ごまごまののの赤駒之
  2. 2越こ越ここゆるゆるゆる馬うま馬うまうま柵せ柵せせののの越馬柵乃
  3. 3標しめ標しめしめ結ゆ結ゆゆひひいししし緘結師
  4. 4妹いも妹いもいもががが情こころ情こころこころははは妹情者
  5. 5疑うたが疑うたがうたがひひいももも無な無ななししし疑毛奈思

引用の仕方

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現代語訳

赤駒が越えようとする馬柵をしっかり結ぶように、しるしを結んで約束したあなたの心は、疑いようもない。

意訳

馬が逃げないように馬柵を固く結ぶように、二人で固く約束を結んだのだから、あなたの心を疑うことはないと、聖武天皇が海上女王の真心をたたえた歌である。左注は、古い歌を下敷きにしたものだが、時節にかなったので贈ったのだろうという。

語釈・文法注

文法・本文

馬柵
「うませ」は馬が逃げないように囲った柵。

和歌

作者
聖武天皇(701–756)
文武天皇の皇子。奈良時代の天皇で、東大寺の大仏を造立した。
出典
『万葉集』巻第四・相聞・530番
歌体
短歌(五七五七七)
時期
第3期(710〜733年(平城京遷都〜山上憶良の没年ごろ))
状況
天皇(聖武天皇)が海上女王に贈った歌。

修辞

序詞
「赤駒の越ゆる馬柵の」が「標結ひし」を導く。

解説

海上女王は志貴皇子の娘とされる。次の531番で女王が答えている。

関連

出典

底本
佐佐木信綱編『新訓万葉集』上巻 岩波文庫、昭和2年(1927)、154頁(コマ81)。国立国会図書館デジタルコレクション
原文
佐佐木信綱編『白文万葉集』上巻 岩波書店、昭和24年(1949)、160頁(コマ86)。万葉仮名の原文。国立国会図書館デジタルコレクション
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部
更新日