古典ライブラリー

万葉集 巻第四 508番

衣手の 別る今夜ゆ

三方沙弥(みかたのさみ)

袖を分かって別れる今夜から、妻も私もひどく恋しく思うことだろう。逢う手だてがないので。別れの夜を歌う三方沙弥の歌。

夜明け前、袖を分かって別れる男女が、名残惜しそうに振り返っている

題詞三方沙彌の歌一首

  1. 1衣ころも衣ころもころも手で手ででののの衣手乃
  2. 2別わか別わかわかるるる今こ今ここ夜よひ夜よひよいゆゆゆ別今夜從
  3. 3妹いも妹いもいもももも吾われ吾われわれももも妹毛吾母
  4. 4いたくいたくいたく戀こ戀ここひひいむむんななな甚戀名
  5. 5逢あ逢ああふふうよしよしよしををを無な無ななみみみ相因乎奈美

引用の仕方

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現代語訳

袖を分かって別れる今夜から、妻も私も、ひどく恋しく思うことだろう。逢う手だてがないので。

意訳

共寝の袖を分かって別れる今夜からは、二人とも恋しさに苦しむことになるだろうと歌う。旅立ちなどで、しばらく逢えなくなる別れの夜の歌であろう。

語釈・文法注

文法・本文

戀ひむな
「な」は詠嘆。恋しく思うだろうなあ。

和歌

作者
三方沙弥(生没年未詳)
巻第二の123〜125番で、園臣生羽の娘と歌を交わした人物。
出典
『万葉集』巻第四・相聞・508番
歌体
短歌(五七五七七)
時期
第3期(710〜733年(平城京遷都〜山上憶良の没年ごろ))
状況
三方沙弥の歌。

解説

「衣手の別る」は、共寝した袖を分かつことで、別れを具体的に表す表現である。

関連

出典

底本
佐佐木信綱編『新訓万葉集』上巻 岩波文庫、昭和2年(1927)、149頁(コマ78)。国立国会図書館デジタルコレクション
原文
佐佐木信綱編『白文万葉集』上巻 岩波書店、昭和24年(1949)、156頁(コマ84)。万葉仮名の原文。国立国会図書館デジタルコレクション
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部
更新日