古典ライブラリー

万葉集 巻第四 507番

敷妙の 枕ゆくくる

駿河采女(するがのうねめ)

枕からもれ落ちる涙で、浮き寝をしてしまった。恋の思いがあまりに激しいので。涙で寝床が水に浮かぶほどだと歌う駿河采女の歌。

暗い部屋の寝床で、若い女性が枕に顔をうずめて泣いている

題詞駿河婇女の歌一首

  1. 1敷しき敷しきしき妙たへ妙たへたえののの敷細乃
  2. 2枕まくら枕まくらまくらゆゆゆくくるくくるくくる枕從久久流
  3. 3涙なみだ涙なみだなみだにににぞぞぞ涙二曾
  4. 4浮うき浮うきうき宿ね宿ねねをををしししけるけるける浮宿乎思家類
  5. 5戀こひ戀こひこいののの繁しげ繁しげしげきききににに戀乃繁爾

引用の仕方

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現代語訳

(敷妙の)枕からもれ流れる涙で、浮き寝をしてしまったことだ。恋の思いがあまりに激しいので。

意訳

恋しさのあまり流した涙が枕からもれ落ち、まるで水に浮かんで寝ているようだと歌う。誇張した表現で、恋の苦しみの深さを伝えている。

語釈・文法注

文法・本文

くくる
もれ出る、くぐり抜けて流れる。
浮宿
水に浮かんで寝ること。

和歌

作者
駿河采女(生没年未詳)
駿河国から宮廷に仕えた采女。
出典
『万葉集』巻第四・相聞・507番
歌体
短歌(五七五七七)
時期
第3期(710〜733年(平城京遷都〜山上憶良の没年ごろ))
状況
駿河采女の歌。

修辞

誇張
涙で寝床が浮くほどだと誇張する。

解説

涙で枕が浮くという誇張は、のちの平安和歌でもよく用いられる表現になった。

関連

出典

底本
佐佐木信綱編『新訓万葉集』上巻 岩波文庫、昭和2年(1927)、149頁(コマ78)。国立国会図書館デジタルコレクション
原文
佐佐木信綱編『白文万葉集』上巻 岩波書店、昭和24年(1949)、156頁(コマ84)。万葉仮名の原文。国立国会図書館デジタルコレクション
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部
更新日