古典ライブラリー

万葉集 巻第三 459番

見れど飽かず

県犬養人上(あがたのいぬかいのひとかみ)

いくら見ても見飽きないほど立派だった君が、黄葉が散るように亡くなってしまったので、悲しいことだ。勅命で大伴旅人の病の看護にあたった県犬養人上の挽歌。

秋の山の黄葉が風に散り、屋敷の縁で医師らしい男が頭を垂れている

題詞(天平三年辛未秋七月、大納言大伴卿の薨せし時の歌六首のうち)

  1. 1見み見みみれれれどどど飽あ飽ああかかかずずず見禮杼不飽
  2. 2坐いま坐いまいましししししし君きみ君きみきみががが伊座之君我
  3. 3黄もみ黄もみもみ葉ぢ葉ぢじ葉ば葉ばばののの黃葉乃
  4. 4移うつ移うつうつりりりいいい去ゆ去ゆゆけけけばばば移伊去者
  5. 5悲かな悲かなかなしくしくしくもももあるあるあるかかか悲喪有香

引用の仕方

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現代語訳

いくら見ても見飽きないほど立派でいらっしゃった君が、黄葉の散るように移り去っておしまいになったので、悲しいことだ。

意訳

天皇は県犬養人上に命じて、病の重い大伴旅人の看護をさせた。しかし薬の効き目もなく、旅人は亡くなった。人上は、見飽きることのない立派な方が、黄葉の散るように去ってしまったと悲しんでいる。

語釈・文法注

文法・本文

移りい去けば
「い」は接頭語。散り移っていくので。

和歌

作者
県犬養人上(生没年未詳)
奈良時代の官人。内礼正として、天皇の命で大伴旅人の病の看護にあたった。
出典
『万葉集』巻第三・挽歌・459番
歌体
短歌(五七五七七)
時期
第3期(710〜733年(平城京遷都〜山上憶良の没年ごろ))
状況
大伴旅人が亡くなったときに、看護にあたった県犬養人上が詠んだ歌。

修辞

比喩
黄葉が散ることに、人の死をたとえる。

解説

天皇が医師を遣わして看護させたことから、旅人が朝廷で重んじられていたことがわかる。

関連

出典

底本
佐佐木信綱編『新訓万葉集』上巻 岩波文庫、昭和2年(1927)、124頁(コマ66)。国立国会図書館デジタルコレクション
原文
佐佐木信綱編『白文万葉集』上巻 岩波書店、昭和24年(1949)、127頁(コマ69)。万葉仮名の原文。国立国会図書館デジタルコレクション
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部
更新日