古典ライブラリー

万葉集 巻第三 442番

世間は 空しきものと

作者未詳

世の中は空しいものだと示そうとして、この照る月は満ちたり欠けたりするのだろう。長屋王の子、膳部王の死を悼む歌。

夜空に半ば欠けた月が浮かび、その光が静かな屋敷の庭を照らしている

題詞膳部王を悲傷める歌一首

  1. 1世間よのなか世間よのなかよのなかははは世間者
  2. 2空むな空むなむなしきしきしきものものものととと空物跡
  3. 3あらあらあらむむんとととぞぞぞ將有登曾
  4. 4このこのこの照て照ててるるる月つき月つきつきははは此照月者
  5. 5滿み滿みみちちち闕か闕かかけけけしししけるけるける滿闕爲家流

引用の仕方

レポート・論文で引用する場合の表記例です。行番号を選んでから開くと、その行へのリンクになります。

現代語訳

世の中は空しいものだというのであろうと、この照る月は、満ちたり欠けたりしたことだ。

意訳

膳部王は長屋王の子で、父とともに自害した。満ち欠けをくり返す月の姿に、世の中のはかなさを見て、王の死を悼んでいる。

語釈・文法注

文法・本文

空しきものと
仏教の「空」の思想をふまえる。

和歌

作者
作者未詳
出典
『万葉集』巻第三・挽歌・442番
歌体
短歌(五七五七七)
時期
第3期(710〜733年(平城京遷都〜山上憶良の没年ごろ))
状況
膳部王の死を悲しんだ歌。作者はわからない。

解説

月の満ち欠けを世の無常にたとえるのは、仏教思想の影響を受けた表現である。

関連

出典

底本
佐佐木信綱編『新訓万葉集』上巻 岩波文庫、昭和2年(1927)、121頁(コマ64)。国立国会図書館デジタルコレクション
原文
佐佐木信綱編『白文万葉集』上巻 岩波書店、昭和24年(1949)、124頁(コマ68)。万葉仮名の原文。国立国会図書館デジタルコレクション
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部
更新日