万葉集 巻第三 406番
吾が祭る
それは私が祭る神ではありません。あなたに取りついている神でしょう、よくお祀りなさい。赤麻呂にも妻がいることを皮肉って言い返した娘子の歌。
場面イラスト(準備中)
題詞娘子、復報ふる歌一首
現代語訳
それは私が祭っている神ではありません。あなたに取りついている神ですよ。よくお祀りなさい。
意訳
赤麻呂が、神の社が止めると言ったのに対し、娘子は、その神は私の神ではなく、あなたに取りついている神(あなたの妻)でしょう、大切にお祀りなさいと切り返す。赤麻呂にも妻がいることを皮肉った、痛快な返しである。
語釈・文法注
文法・本文
- 著きたる神
- 取りついている神。
和歌
- 作者
- 娘子(生没年未詳)
名は伝わらない。佐伯赤麻呂と歌を交わした女性。 - 出典
- 『万葉集』巻第三・譬喩歌・406番
- 歌体
- 短歌(五七五七七)
- 時期
- 第3期(710〜733年(平城京遷都〜山上憶良の没年ごろ))
- 状況
- 405番の佐伯赤麻呂の歌に、娘子がさらに答えた歌。
修辞
- 譬喩
- 神に、赤麻呂の妻をたとえる。
解説
404〜406番の三首は、神の社のたとえを受け渡しながら、言葉の機知を競い合う贈答で、結局は娘子の勝ちに終わっている。
関連
出典
- 底本
- 佐佐木信綱編『新訓万葉集』上巻 岩波文庫、昭和2年(1927)、115頁(コマ61)。国立国会図書館デジタルコレクション
- 原文
- 佐佐木信綱編『白文万葉集』上巻 岩波書店、昭和24年(1949)、117頁(コマ64)。万葉仮名の原文。国立国会図書館デジタルコレクション
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部
- 更新日