古典ライブラリー

万葉集 巻第三 328番

あをによし 寧樂の京師は

小野老(おののおゆ)

奈良の都は、咲く花が美しく照り映えるように、今まっ盛りである。大宰府で、遠い都の繁栄をたたえた小野老の名歌。

平城京の朱雀大路に満開の桜が咲き、朱塗りの門や宮殿が春の光に照り映えている

題詞太宰少貳小野老朝臣の歌一首

  1. 1あをによしあをによしあおによし青丹吉
  2. 2寧樂なら寧樂ならならののの京師みやこ京師みやこみやこははは寧樂乃京師者
  3. 3咲さ咲ささくくく花はな花はなはなののの咲花乃
  4. 4薰にほ薰にほにおふふうがががごとくごとくごとく薰如
  5. 5今いま今いまいまさかりさかりさかりなりなりなり今盛有

引用の仕方

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現代語訳

(あをによし)奈良の都は、咲く花が美しく照り映えるように、今まっ盛りである。

意訳

大宰府に赴任していた小野老が、都へ出張して戻ったときの宴で詠んだ歌とみられる。奈良の都の繁栄を、咲き誇る花にたとえてたたえている。遠い筑紫で都をなつかしむ人々の前で歌われたため、都への思いがいっそう華やかに表されている。

語釈・文法注

文法・本文

あをによし
「奈良」にかかる枕詞。
薫ふ
「にほふ」は色が美しく照り映える。

和歌

作者
小野老(?–737)
奈良時代の官人。大宰少弐・大弐を務め、大伴旅人のもとで筑紫歌壇の一員となった。
出典
『万葉集』巻第三・雑歌・328番
歌体
短歌(五七五七七)
時期
第3期(710〜733年(平城京遷都〜山上憶良の没年ごろ))
状況
大宰少弐の小野老が詠んだ歌。大宰府での宴の歌とみられ、続く329〜337番も同じ宴の歌と考えられている。

修辞

比喩
都の繁栄を、照り映える花にたとえる。

解説

平城京の繁栄を象徴する歌として、万葉集の中でも特によく知られている。この歌に続いて、大伴四綱・大伴旅人・沙弥満誓・山上憶良の歌が並び、大宰府の官人たちの宴で故郷の都をしのぶ歌が次々に詠まれたことがわかる。

関連

出典

底本
佐佐木信綱編『新訓万葉集』上巻 岩波文庫、昭和2年(1927)、105頁(コマ56)。国立国会図書館デジタルコレクション
原文
佐佐木信綱編『白文万葉集』上巻 岩波書店、昭和24年(1949)、105頁(コマ58)。万葉仮名の原文。国立国会図書館デジタルコレクション
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部
更新日