古典ライブラリー

古今和歌集 巻第十七 雑歌上 876番

蟬の羽の

紀友則(きのとものり)

蝉の羽のような夜の衣は薄いけれど、移り香は濃く匂っていることだ。

作者
紀友則
  1. 1方かた方かたかたたがたがたがへにへにへに人ひと人ひとひとののの家いへ家いへいえにまかれりけるにまかれりけるにまかれりける時とき時ときときにあるじのきぬにあるじのきぬにあるじのきぬををを著き著ききせたりけるせたりけるせたりけるをををあしたにかへすとてよみけるあしたにかへすとてよみけるあしたにかえすとてよみける詞書
  2. 2蟬せみ蟬せみせみののの羽は羽ははののの初句
  3. 3よるのよるのよるの衣ころも衣ころもころもははは二句
  4. 4うすけれどうすけれどうすけれど三句
  5. 5うつりうつりうつり香が香ががこくもこくもこくも四句
  6. 6匂にほ匂にほにおひぬるかなひぬるかないぬるかな結句

引用の仕方

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現代語訳

〔詞書〕方違えで人の家に行った時、主人が着物を着せてくれたのを、翌朝返すといって詠んだ歌。

蝉の羽のような夜の衣は薄いけれど、移り香は濃く匂っていることだ。

意訳

借りた夜具の衣の薄さと移り香の濃さを対比し、もてなしへの感謝を詠む。

語釈・文法注

方たがへ
陰陽道の禁忌を避けるため、一夜を別の所で過ごすこと。

和歌

作者
紀友則(きのとものり) ?–905?
『古今和歌集』の撰者の一人で、紀貫之の従兄。大内記などを務めたが、集の完成を待たずに亡くなり、巻第十六に貫之・壬生忠岑の哀悼の歌がある。のびやかで格調のある歌風で知られる。三十六歌仙の一人。
出典
『古今和歌集』巻第十七・雑歌上・876番
歌体
短歌
状況
詞書「方たがへに人の家にまかれりける時にあるじのきぬを著せたりけるをあしたにかへすとてよみける」(方違えで人の家に行った時、主人が着物を着せてくれたのを、翌朝返すといって詠んだ歌)。

修辞

対比
「うすけれど」と「こく」。

解説

紀友則の歌。

関連

出典

底本
有朋堂文庫『古今和歌集・後撰和歌集』 塚本哲三校訂、有朋堂書店、大正15年(1926)、158頁(コマ92)。正保四年版『八代集』を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
更新日