古今和歌集 巻第十 物名 445番
花の木に
花の木ではないだろうに、花が咲いたことだ。年老いた私にも、実のなる時があればよいのに。

現代語訳
〔詞書〕二条の后がまだ春宮の御息所と申し上げた時、髪飾りの削り花を挿していたのを詠ませなさった歌。
花の木ではないだろうに、花が咲いたことだ。年老いた私にも、実のなる時があればよいのに。
意訳
「めどにけづり花」を題とし、削り花(木を削って作った造花)に寄せて、老いた自分にも栄える時が来てほしいと詠む。
語釈・文法注
- めど
- 髪飾りの一種とも、植物とも。
- けづり花
- 木を削って作った造花。
- ふりにし木の実
- 古くなった木の実、年老いた我が身。
和歌
- 作者
- 文屋康秀(ふんやのやすひで) 生没年未詳(九世紀後半)
縫殿助・三河掾などを務めた下級官人。小野小町を三河への旅に誘ったという話が伝わる。仮名序は「詞たくみにてそのさま身におはず」と評する。六歌仙の一人。 - 出典
- 『古今和歌集』巻第十・物名・445番
- 歌体
- 短歌
- 状況
- 詞書「二條の后春宮の御息所と申しける時にめどにけづり花させりけるをよませ給ひける」(二条の后がまだ春宮の御息所と申し上げた時、髪飾りの削り花を挿していたのを詠ませなさった歌)。
修辞
- 寓意
- 「木の実」に老いた自分の栄達を重ねる。
解説
文屋康秀の歌。
関連
出典
- 底本
- 有朋堂文庫『古今和歌集・後撰和歌集』 塚本哲三校訂、有朋堂書店、大正15年(1926)、86頁(コマ56)。正保四年版『八代集』を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
- 更新日