古今和歌集 巻第十 物名 422番
心から
自分から好んで花のしずくに濡れながら、どうして「憂く干ず(つらい、乾かない)」とばかり鳥が鳴くのだろう。

現代語訳
〔詞書〕うぐいす。
自分から好んで花のしずくに濡れながら、どうして「憂く干ず(つらい、乾かない)」とばかり鳥が鳴くのだろう。
意訳
鶯の鳴き声「うぐひす」を「憂く干ず」と聞きなした物名の歌。好んで花のしずくに濡れておきながら、乾かないと嘆くとは、と鶯をからかう。
語釈・文法注
- 物名
- 題の物の名を、歌の意味とは別に一首の中に詠みこむ技法。
- 心から
- 自分から。
- そぼちつつ
- 濡れながら。
- うくひず
- 「憂く干ず(つらい、乾かない)」に「うぐひす」を隠す。
和歌
- 作者
- 藤原敏行(ふじわらのとしゆき) ?–901?
藤原富士麻呂の子。蔵人頭・右兵衛督などを務めた。能書家としても名高く、神護寺の鐘の銘を書いたと伝える。妻は紀有常の娘で、業平とは相婿にあたる。三十六歌仙の一人。 - 出典
- 『古今和歌集』巻第十・物名・422番
- 歌体
- 短歌
- 状況
- 詞書「うぐひす」(うぐいす)。
修辞
- 物名
- 「うくひず」に「うぐひす」を詠みこむ。
解説
物名の巻頭歌。藤原敏行の作。
関連
出典
- 底本
- 有朋堂文庫『古今和歌集・後撰和歌集』 塚本哲三校訂、有朋堂書店、大正15年(1926)、82頁(コマ54)。正保四年版『八代集』を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
- 更新日