古今和歌集 巻第八 離別歌 375番
から衣
旅立つ日のことは聞くまい。朝露が置くように、私を置いて出かけていったら、私は消えてしまいそうなのだから。

- 1題題だいしらずしらずしらず詞書
- 2からからから衣衣ころも初句
- 3たつたつたつ日日ひはははきかじきかじきかじ二句
- 4朝露朝露あさつゆののの三句
- 5おきてしおきてしおきてし行行ゆけばけばけば四句
- 6けぬべきものけぬべきものけぬべきものををを結句
- 7このこのこの歌歌うたはははあるあるある人人ひとつかさつかさつかさをををたまはりてあたらしきたまはりてあたらしきたまわりてあたらしき妻妻つまにつきてにつきてにつきて年年とし經經へててて住住すみけるみけるみける人人ひとをををすててただすててただすててただ明日明日あすなむなむなむ立立たつとばかりいへりけるときにともかくもいはでよみてつとばかりいへりけるときにともかくもいはでよみてつとばかりいえりけるときにともかくもいわでよみて遣遣つかわしけるしけるしける左注
現代語訳
旅立つ日のことは聞くまい。朝露が置くように、私を置いて出かけていったら、私は消えてしまいそうなのだから。
〔左注〕この歌は、ある人が官職を賜り、新しい妻について、長年住んでいた妻を捨てて、ただ「明日出発する」とだけ言った時に、(その妻が)何とも言わずに詠んで贈ったものである。
意訳
旅立ちの日を聞かされるのはつらい。置き去りにされれば、朝露のように消えてしまいそうだ、と嘆く。
語釈・文法注
- から衣
- 「たつ(裁つ)」にかかる枕詞。
- おきてし
- 「置きて(残して)」と「露が置く」。
- けぬべき
- 消えてしまいそうな。
和歌
- 作者
- 読人しらず(よみびとしらず)
作者の名が伝わらない歌。『古今和歌集』の約四割を占め、撰者の時代より古い歌や、民謡・宴席で歌い継がれた歌、身分の低い人や女性の歌などを含む。 - 出典
- 『古今和歌集』巻第八・離別歌・375番
- 歌体
- 短歌
- 状況
- 題しらず(詠まれた事情は伝わらない)。
修辞
- 枕詞
- 「から衣」。
- 掛詞
- 「たつ」に「裁つ」と「発つ」、「おき」に「置き」と「起き」。
解説
左注によれば、ある人が官職を得て新しい妻とともに任地へ向かおうとし、長年連れ添った妻に出発を告げた時、その妻が詠んだ歌という。
関連
出典
- 底本
- 有朋堂文庫『古今和歌集・後撰和歌集』 塚本哲三校訂、有朋堂書店、大正15年(1926)、69頁(コマ48)。正保四年版『八代集』を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
- 更新日