古今和歌集 巻第五 秋歌下 292番
わび人の
わびしく暮らす者がとりわけ頼って立ち寄る木の下は、頼りにする陰もなく、もみじが散ってしまったことだ。

現代語訳
〔詞書〕雲林院の木の陰にたたずんで詠んだ歌。
わびしく暮らす者がとりわけ頼って立ち寄る木の下は、頼りにする陰もなく、もみじが散ってしまったことだ。
意訳
世を捨てた者が身を寄せようとした木陰も、紅葉が散って頼る陰がない。仁明天皇を失った遍昭の嘆きとも読まれる。
語釈・文法注
- わび人
- 世をわびしく思う人。
- わきて
- とりわけ。
- 頼むかげ
- 頼りとする陰。庇護をたとえる。
和歌
- 作者
- 僧正遍昭(そうじょうへんじょう) 816–890
桓武天皇の孫で、俗名は良岑宗貞(よしみねのむねさだ)。仁明天皇に仕えて蔵人頭となったが、天皇の崩御を機に出家し、のちに僧正となって元慶寺・花山寺を開いた。素性法師の父。六歌仙・三十六歌仙の一人。 - 出典
- 『古今和歌集』巻第五・秋歌下・292番
- 歌体
- 短歌
- 状況
- 詞書「雲林院の木のかけにたたずみてよみける」(雲林院の木の陰にたたずんで詠んだ歌)。
修辞
- 寓意
- 木陰に庇護を重ねる。
解説
僧正遍昭の歌。
関連
出典
- 底本
- 有朋堂文庫『古今和歌集・後撰和歌集』 塚本哲三校訂、有朋堂書店、大正15年(1926)、51頁(コマ39)。正保四年版『八代集』を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
- 更新日