古今和歌集 巻第五 秋歌下 277番
こころあてに
あて推量で、折るなら折ってみようか。初霜が一面に置いて、霜と見分けにくくしている白菊の花を。

現代語訳
〔詞書〕白菊の花を詠んだ歌。
あて推量で、折るなら折ってみようか。初霜が一面に置いて、霜と見分けにくくしている白菊の花を。
意訳
一面の初霜で、白菊の花と霜とが見分けにくい。当て推量で折るしかない、と霜の白さと菊の白さを重ねて誇張した。
語釈・文法注
- 心あてに
- 当て推量で。
- 折らばや折らむ
- 折るなら折ろうか。
- 置きまどはせる
- 置いて見分けにくくしている。
和歌
- 作者
- 凡河内躬恒(おおしこうちのみつね) 生没年未詳(九世紀末〜十世紀前半)
『古今和歌集』の撰者の一人。甲斐少目・和泉大掾など地方の下級官人を務めたが、歌才は宇多・醍醐両天皇に重んじられ、屏風歌や歌合で活躍した。貫之と並ぶ歌人とされる。三十六歌仙の一人。 - 出典
- 『古今和歌集』巻第五・秋歌下・277番
- 歌体
- 短歌
- 状況
- 詞書「白菊の花をよめる」(白菊の花を詠んだ歌)。
修辞
- 見立て
- 白菊と初霜の白さを重ねる。
解説
凡河内躬恒の代表歌で、百人一首第二十九首にも採られた。正岡子規は誇張を批判したが、繊細な美意識の歌として親しまれている。
関連
出典
- 底本
- 有朋堂文庫『古今和歌集・後撰和歌集』 塚本哲三校訂、有朋堂書店、大正15年(1926)、49頁(コマ38)。正保四年版『八代集』を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
- 更新日