古今和歌集 巻第四 秋歌上 193番
月見れば
月を見ると、さまざまに物事が悲しく思われる。私一人のために来た秋ではないのだけれど。

現代語訳
〔詞書〕是貞親王の家の歌合で詠んだ歌。
月を見ると、さまざまに物事が悲しく思われる。私一人のために来た秋ではないのだけれど。
意訳
秋の月を眺めると、心が千々に乱れ悲しくなる。秋は誰にでも来るのに、自分一人の秋のように悲しい。
語釈・文法注
- ちぢに
- さまざまに。
- わが身ひとつの秋
- 私一人だけの秋。
和歌
- 作者
- 大江千里(おおえのちさと) 生没年未詳(九世紀後半〜十世紀初め)
参議大江音人の子。漢学に通じ、寛平六年(894)に、漢詩の句を題にして和歌を詠んだ『句題和歌(大江千里集)』を宇多天皇に献上した。 - 出典
- 『古今和歌集』巻第四・秋歌上・193番
- 歌体
- 短歌
- 状況
- 詞書「是貞のみこの家の歌合によめる」(是貞親王の家の歌合で詠んだ歌)。
修辞
- 対比
- 「ちぢ(千々)」と「ひとつ(一つ)」。
解説
大江千里の代表歌で、百人一首第二十三首にも採られた。白居易の詩「燕子楼」をふまえるとされる。
関連
出典
- 底本
- 有朋堂文庫『古今和歌集・後撰和歌集』 塚本哲三校訂、有朋堂書店、大正15年(1926)、34頁(コマ30)。正保四年版『八代集』を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
- 更新日