古今和歌集 巻第三 夏歌 148番
思ひいづる
思い出すことのある時には、常磐の山のほととぎすは、真紅に染めた色を振り出すように、声をふりしぼって鳴く。

現代語訳
思い出すことのある時には、常磐の山のほととぎすは、真紅に染めた色を振り出すように、声をふりしぼって鳴く。
意訳
昔を思い出して悲しむときには、ほととぎすも血を吐くように声をふりしぼって鳴く、と鳥の鳴き声の悲痛さを詠む。
語釈・文法注
- ときはの山
- 京都の常磐の地の山。「時は」をかける。
- からくれなゐの
- 「ふり出づ(染め汁を振り出す)」を導く。
- ふり出でて
- 声をふりしぼって。
和歌
- 作者
- 読人しらず(よみびとしらず)
作者の名が伝わらない歌。『古今和歌集』の約四割を占め、撰者の時代より古い歌や、民謡・宴席で歌い継がれた歌、身分の低い人や女性の歌などを含む。 - 出典
- 『古今和歌集』巻第三・夏歌・148番
- 歌体
- 短歌
- 状況
- 題しらず(詠まれた事情は伝わらない)。
修辞
- 掛詞
- 「ときは」に「時は」と「常磐」。
- 序詞的表現
- 「からくれなゐの」が「ふり出で」を導く。
解説
ほととぎすは血を吐いて鳴くという中国の伝説をふまえる。
関連
出典
- 底本
- 有朋堂文庫『古今和歌集・後撰和歌集』 塚本哲三校訂、有朋堂書店、大正15年(1926)、27頁(コマ27)。正保四年版『八代集』を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
- 更新日