古今和歌集 巻第二 春歌下 125番
かはづなく
蛙の鳴く井手の山吹は散ってしまった。花の盛りに出会えたらよかったのに。

現代語訳
蛙の鳴く井手の山吹は散ってしまった。花の盛りに出会えたらよかったのに。
〔左注〕この歌は、ある人が言うには、橘清友の歌である。
意訳
蛙の声で名高い井手の里の山吹は、もう散ってしまった。盛りの時に見に来られなかったことを残念がる。
語釈・文法注
- かはづ
- かじか蛙。
- 井手
- 山城国の地名(京都府綴喜郡井手町)。山吹と蛙の名所。
- あはましものを
- 「まし」は反実仮想。会えたらよかったのに。
和歌
- 作者
- 読人しらず(よみびとしらず)
作者の名が伝わらない歌。『古今和歌集』の約四割を占め、撰者の時代より古い歌や、民謡・宴席で歌い継がれた歌、身分の低い人や女性の歌などを含む。 - 出典
- 『古今和歌集』巻第二・春歌下・125番
- 歌体
- 短歌
- 状況
- 題しらず(詠まれた事情は伝わらない)。
解説
「井手の山吹」「井手の蛙」は、この歌によって歌枕として定着した。左注は橘清友の歌とする説を伝える。
関連
出典
- 底本
- 有朋堂文庫『古今和歌集・後撰和歌集』 塚本哲三校訂、有朋堂書店、大正15年(1926)、22頁(コマ24)。正保四年版『八代集』を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
- 更新日