古今和歌集 巻第二 春歌下 106番
吹くかぜを
吹く風を、鳴いて恨んでおくれ、鶯よ。私が花に手でさえ触れただろうか、触れてはいない。

現代語訳
吹く風を、鳴いて恨んでおくれ、鶯よ。私が花に手でさえ触れただろうか、触れてはいない。
意訳
花が散ったのを鶯が人のせいにしているかのように思い、散らしたのは風だ、私は花に手も触れていない、と言いわけをする。
語釈・文法注
- なきてうらみよ
- 鳴いて恨め。
- われやは
- 「やは」は反語。私が…しただろうか。
- 手だに
- 手でさえ。
和歌
- 作者
- 読人しらず(よみびとしらず)
作者の名が伝わらない歌。『古今和歌集』の約四割を占め、撰者の時代より古い歌や、民謡・宴席で歌い継がれた歌、身分の低い人や女性の歌などを含む。 - 出典
- 『古今和歌集』巻第二・春歌下・106番
- 歌体
- 短歌
- 状況
- 題しらず(詠まれた事情は伝わらない)。
修辞
- 反語
- 「われやは花に手だにふれたる」。
解説
鶯との対話のような、ほほえましい歌。
関連
出典
- 底本
- 有朋堂文庫『古今和歌集・後撰和歌集』 塚本哲三校訂、有朋堂書店、大正15年(1926)、19頁(コマ23)。正保四年版『八代集』を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
- 更新日