古今和歌集 巻第二 春歌下 72番
このさとに
この里で旅寝をしてしまいそうだ。桜の花が散り乱れる中で、家に帰る道を忘れて。

現代語訳
この里で旅寝をしてしまいそうだ。桜の花が散り乱れる中で、家に帰る道を忘れて。
意訳
散り乱れる桜の花びらに目を奪われ、帰り道もわからなくなって、この里に泊まってしまいそうだ、と落花の美しさを詠む。
語釈・文法注
- しぬべし
- 「ぬ」は強意、「べし」は推量。きっと…してしまいそうだ。
- まがひ
- 入り乱れて見分けがつかないこと。
和歌
- 作者
- 読人しらず(よみびとしらず)
作者の名が伝わらない歌。『古今和歌集』の約四割を占め、撰者の時代より古い歌や、民謡・宴席で歌い継がれた歌、身分の低い人や女性の歌などを含む。 - 出典
- 『古今和歌集』巻第二・春歌下・72番
- 歌体
- 短歌
- 状況
- 題しらず(詠まれた事情は伝わらない)。
解説
散る花で道が見えなくなるという誇張は、落花の歌によく用いられる。
関連
出典
- 底本
- 有朋堂文庫『古今和歌集・後撰和歌集』 塚本哲三校訂、有朋堂書店、大正15年(1926)、13頁(コマ20)。正保四年版『八代集』を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
- 更新日