古今和歌集 巻第二 春歌下 71番
のこりなく
残すところなく散ってしまうのがすばらしい、桜の花は。この世に長くとどまっていても、最後にはつらいことになるのだから。

現代語訳
残すところなく散ってしまうのがすばらしい、桜の花は。この世に長くとどまっていても、最後にはつらいことになるのだから。
意訳
いさぎよく散る桜こそすばらしい。この世は長くいるほど、最後にはつらい目にあうのだから、と桜の散り際に人生の無常を重ねる。
語釈・文法注
- めでたき
- すばらしい。「ぞ」の結びで連体形。
- ありて
- 生きながらえて。
- はての憂ければ
- 最後がつらいので。
和歌
- 作者
- 読人しらず(よみびとしらず)
作者の名が伝わらない歌。『古今和歌集』の約四割を占め、撰者の時代より古い歌や、民謡・宴席で歌い継がれた歌、身分の低い人や女性の歌などを含む。 - 出典
- 『古今和歌集』巻第二・春歌下・71番
- 歌体
- 短歌
- 状況
- 題しらず(詠まれた事情は伝わらない)。
解説
散ることを肯定する桜観は、のちの日本人の桜の美意識の源流の一つとされる。
関連
出典
- 底本
- 有朋堂文庫『古今和歌集・後撰和歌集』 塚本哲三校訂、有朋堂書店、大正15年(1926)、13頁(コマ20)。正保四年版『八代集』を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
- 更新日