古典ライブラリー

古今和歌集 巻第二 春歌下 70番

待てといふに

読人しらず(よみびとしらず)

待てと言えば散らずにとどまってくれるものならば、何を桜以上に大切に思うだろうか。

「待てといふに」の歌をもとにした情景。待てと言えば散らずにとどまってくれるものならば、何を桜以上に大切に思うだろうか。
「待てといふに」の歌をもとにした情景。待てと言えば散らずにとどまってくれるものならば、何を桜以上に大切に思うだろうか。
詞書
「題しらず」(前の歌と同じ詞書)
作者
讀人しらず(読人しらず)
  1. 1待ま待ままてといふにてといふにてというに初句
  2. 2散ち散ちちらでしとまるらでしとまるらでしとまる二句
  3. 3物もの物ものものならばならばならば三句
  4. 4何なに何なになにををを櫻さくら櫻さくらさくらににに四句
  5. 5思おも思おもおもひまさましひまさましいまさまし結句

引用の仕方

レポート・論文で引用する場合の表記例です。行番号を選んでから開くと、その行へのリンクになります。

現代語訳

待てと言えば散らずにとどまってくれるものならば、何を桜以上に大切に思うだろうか。

意訳

頼めば散るのを待ってくれるのなら、桜ほど愛すべきものはない。しかし実際には散ってしまう、という嘆きが裏にある。

語釈・文法注

散らでし
「し」は強意。散らないで。
思ひまさまし
「まし」は反実仮想。より大切に思うだろうか。

和歌

作者
読人しらず(よみびとしらず)
作者の名が伝わらない歌。『古今和歌集』の約四割を占め、撰者の時代より古い歌や、民謡・宴席で歌い継がれた歌、身分の低い人や女性の歌などを含む。
出典
『古今和歌集』巻第二・春歌下・70番
歌体
短歌
状況
題しらず(詠まれた事情は伝わらない)。

修辞

反実仮想
「…ものならば…まし」。

解説

散ることが桜の宿命であることを、仮定によって逆に浮かび上がらせる。

関連

出典

底本
有朋堂文庫『古今和歌集・後撰和歌集』 塚本哲三校訂、有朋堂書店、大正15年(1926)、13頁(コマ20)。正保四年版『八代集』を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
更新日