古今和歌集 巻第一 春歌上 68番
見る人も
見る人もない山里の桜の花よ、どうせ見られないのなら、ほかの桜が散ってしまった後に咲けばよいのに。

現代語訳
〔詞書〕亭子院の歌合の時に詠んだ歌。
見る人もない山里の桜の花よ、どうせ見られないのなら、ほかの桜が散ってしまった後に咲けばよいのに。
意訳
人の訪れない山里の桜に、ほかの桜が散ってから咲けば、花を惜しむ人も見に来るだろうに、と呼びかける。
語釈・文法注
- 亭子院歌合
- 延喜十三年(913)に宇多法皇が亭子院で催した歌合。
- 咲かまし
- 「まし」はためらい・願望。咲けばよいのに。
和歌
- 作者
- 伊勢(いせ) 872?–938?
伊勢守藤原継蔭の娘。宇多天皇の中宮温子に仕え、宇多天皇の皇子を産んだ。のち敦慶親王との間に娘の中務(歌人)を産んだ。『古今和歌集』に女性歌人として最も多い歌が入る。三十六歌仙の一人。 - 出典
- 『古今和歌集』巻第一・春歌上・68番
- 歌体
- 短歌
- 状況
- 詞書「亭子院歌合の時よめる」(亭子院の歌合の時に詠んだ歌)。
解説
伊勢の歌。人に見られない花を惜しむ心が、山里の静けさとともに描かれる。
関連
出典
- 底本
- 有朋堂文庫『古今和歌集・後撰和歌集』 塚本哲三校訂、有朋堂書店、大正15年(1926)、12頁(コマ19)。正保四年版『八代集』を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
- 更新日