古今和歌集 巻第一 春歌上 60番
みよし野の
吉野の山辺に咲いている桜の花は、雪ではないかとばかり見まちがえられたことだ。

現代語訳
〔詞書〕寛平の御時、后の宮の歌合の歌。
吉野の山辺に咲いている桜の花は、雪ではないかとばかり見まちがえられたことだ。
意訳
雪の名所である吉野に咲く桜を、雪かと見まちがえるほど白い、と詠む。吉野の雪から吉野の桜へという、のちの歌枕の変化を予告する歌。
語釈・文法注
- みよしの
- 吉野の美称。
- のみぞ…ける
- 係り結び。
- あやまたれける
- 「れ」は自発。思わず見まちがえられた。
和歌
- 作者
- 紀友則(きのとものり) ?–905?
『古今和歌集』の撰者の一人で、紀貫之の従兄。大内記などを務めたが、集の完成を待たずに亡くなり、巻第十六に貫之・壬生忠岑の哀悼の歌がある。のびやかで格調のある歌風で知られる。三十六歌仙の一人。 - 出典
- 『古今和歌集』巻第一・春歌上・60番
- 歌体
- 短歌
- 状況
- 詞書「寛平の御時后の宮の歌合の歌」(寛平の御時、后の宮の歌合の歌)。
修辞
- 見立て
- 桜を雪に見立てる。
解説
古今集の時代、吉野は主に雪の名所であった。のちに桜の名所として知られるようになる。
関連
出典
- 底本
- 有朋堂文庫『古今和歌集・後撰和歌集』 塚本哲三校訂、有朋堂書店、大正15年(1926)、11頁(コマ19)。正保四年版『八代集』を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
- 更新日