古今和歌集 巻第一 春歌上 57番
色も香も
桜の花は色も香も昔と同じように咲いているだろうが、年を重ねた人の身だけは変わってしまったことだ。

現代語訳
〔詞書〕桜の花の下で、年老いたことを嘆いて詠んだ歌。
桜の花は色も香も昔と同じように咲いているだろうが、年を重ねた人の身だけは変わってしまったことだ。
意訳
毎年変わらず咲く桜に対して、それを見る自分は年老いて変わってしまった。自然の不変と人の変化を対比して老いを嘆く。
語釈・文法注
- さくらめど
- 「らめ」は現在推量「らむ」の已然形。咲いているだろうが。
- あらたまりける
- すっかり変わってしまった。
和歌
- 作者
- 紀友則(きのとものり) ?–905?
『古今和歌集』の撰者の一人で、紀貫之の従兄。大内記などを務めたが、集の完成を待たずに亡くなり、巻第十六に貫之・壬生忠岑の哀悼の歌がある。のびやかで格調のある歌風で知られる。三十六歌仙の一人。 - 出典
- 『古今和歌集』巻第一・春歌上・57番
- 歌体
- 短歌
- 状況
- 詞書「櫻の花の下にて年の老いぬる事を歎きてよめる」(桜の花の下で、年老いたことを嘆いて詠んだ歌)。
修辞
- 対比
- 変わらない桜と、変わってしまった人。
解説
劉希夷の詩「年年歳歳花相似たり、歳歳年年人同じからず」と同じ発想の歌。
関連
出典
- 底本
- 有朋堂文庫『古今和歌集・後撰和歌集』 塚本哲三校訂、有朋堂書店、大正15年(1926)、10頁(コマ18)。正保四年版『八代集』を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
- 更新日