古典ライブラリー

古今和歌集 巻第一 春歌上 57番

色も香も

紀友則(きのとものり)

桜の花は色も香も昔と同じように咲いているだろうが、年を重ねた人の身だけは変わってしまったことだ。

昔と変わらず咲く桜の下で、自らの老いを思う紀友則。花の巡りと人に積もる歳月を重ねた情景。
昔と変わらず咲く桜の下で、自らの老いを思う紀友則。花の巡りと人に積もる歳月を重ねた情景。
作者
紀友則
  1. 1櫻さくら櫻さくらさくらののの花はな花はなはなののの下した下したしたにてにてにて年とし年としとしののの老お老おおいぬるいぬるいぬる事こと事ことことををを歎なげ歎なげなげきてよめるきてよめるきてよめる詞書
  2. 2色いろ色いろいろももも香か香かかももも初句
  3. 3おなじおなじおなじ昔むかし昔むかしむかしににに二句
  4. 4咲さ咲ささくらめどくらめどくらめど三句
  5. 5としふるとしふるとしうる人ひと人ひとひとぞぞぞ四句
  6. 6あらたまりけるあらたまりけるあらたまりける結句

引用の仕方

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現代語訳

〔詞書〕桜の花の下で、年老いたことを嘆いて詠んだ歌。

桜の花は色も香も昔と同じように咲いているだろうが、年を重ねた人の身だけは変わってしまったことだ。

意訳

毎年変わらず咲く桜に対して、それを見る自分は年老いて変わってしまった。自然の不変と人の変化を対比して老いを嘆く。

語釈・文法注

さくらめど
「らめ」は現在推量「らむ」の已然形。咲いているだろうが。
あらたまりける
すっかり変わってしまった。

和歌

作者
紀友則(きのとものり) ?–905?
『古今和歌集』の撰者の一人で、紀貫之の従兄。大内記などを務めたが、集の完成を待たずに亡くなり、巻第十六に貫之・壬生忠岑の哀悼の歌がある。のびやかで格調のある歌風で知られる。三十六歌仙の一人。
出典
『古今和歌集』巻第一・春歌上・57番
歌体
短歌
状況
詞書「櫻の花の下にて年の老いぬる事を歎きてよめる」(桜の花の下で、年老いたことを嘆いて詠んだ歌)。

修辞

対比
変わらない桜と、変わってしまった人。

解説

劉希夷の詩「年年歳歳花相似たり、歳歳年年人同じからず」と同じ発想の歌。

関連

出典

底本
有朋堂文庫『古今和歌集・後撰和歌集』 塚本哲三校訂、有朋堂書店、大正15年(1926)、10頁(コマ18)。正保四年版『八代集』を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
更新日