古今和歌集 巻第一 春歌上 55番
見てのみや
見るだけで、人にその美しさを語ってよいものか。桜の花を手に手に折って、家へのみやげにしよう。

現代語訳
〔詞書〕山の桜を見て詠んだ歌。
見るだけで、人にその美しさを語ってよいものか。桜の花を手に手に折って、家へのみやげにしよう。
意訳
山桜のあまりの美しさに、話して聞かせるだけでは足りないと思い、皆で手に手に折って家に持ち帰ろうと呼びかける。
語釈・文法注
- 見てのみや
- 「や」は反語。見るだけで…か、いやそうではない。
- 手ごとに
- めいめいの手に。
- 家づと
- 家へのみやげ。
和歌
- 作者
- 素性法師(そせいほうし) 生没年未詳(九世紀後半〜十世紀初め)
僧正遍昭の子。俗名は良岑玄利(よしみねのはるとし)といい、父の命で出家した。雲林院や大和の石上の良因院に住み、宇多天皇・醍醐天皇の歌会や屏風歌に召された。三十六歌仙の一人。 - 出典
- 『古今和歌集』巻第一・春歌上・55番
- 歌体
- 短歌
- 状況
- 詞書「山の櫻を見てよめる」(山の桜を見て詠んだ歌)。
修辞
- 反語
- 「見てのみや人に語らむ」。
解説
素性法師の歌。満開の山桜を前にした素直な喜びが伝わる。
関連
出典
- 底本
- 有朋堂文庫『古今和歌集・後撰和歌集』 塚本哲三校訂、有朋堂書店、大正15年(1926)、10頁(コマ18)。正保四年版『八代集』を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
- 更新日