古今和歌集 巻第一 春歌上 54番
いはばしる
岩の上を激しく流れる滝がなければよいのに。そうすれば、桜の花を手折って持って来よう、見ていない人のために。

現代語訳
岩の上を激しく流れる滝がなければよいのに。そうすれば、桜の花を手折って持って来よう、見ていない人のために。
意訳
滝の向こう側に美しい桜が咲いているが、急流に阻まれて折りに行けない。見られない人に見せたい思いと、もどかしさを詠む。
語釈・文法注
- いはばしる
- 岩の上をほとばしり流れる。
- なくもがな
- 「もがな」は願望。なければいいのに。
- たをりてもこむ
- 手折って持って来よう。
和歌
- 作者
- 読人しらず(よみびとしらず)
作者の名が伝わらない歌。『古今和歌集』の約四割を占め、撰者の時代より古い歌や、民謡・宴席で歌い継がれた歌、身分の低い人や女性の歌などを含む。 - 出典
- 『古今和歌集』巻第一・春歌上・54番
- 歌体
- 短歌
- 状況
- 題しらず(詠まれた事情は伝わらない)。
解説
「見ぬ人のため」に花を折る心づかいは、桜を家づとにする次の歌にも通じる。
関連
出典
- 底本
- 有朋堂文庫『古今和歌集・後撰和歌集』 塚本哲三校訂、有朋堂書店、大正15年(1926)、10頁(コマ18)。正保四年版『八代集』を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
- 更新日