古今和歌集 巻第一 春歌上 44番
年をへて
毎年花を映す鏡となっている水は、花が散りかかるのを、鏡が曇ると言うのだろうか。

現代語訳
毎年花を映す鏡となっている水は、花が散りかかるのを、鏡が曇ると言うのだろうか。
意訳
水面を花の鏡に見立て、散った花びらが水面を覆うのを、鏡が曇ったというのだろうか、と理知的に言い表した。
語釈・文法注
- 花の鏡
- 花を映す鏡。
- ちりかかるをや
- 散りかかることを…か。「や」は疑問。
- くもる
- 鏡の表面がくもる。
和歌
- 作者
- 伊勢(いせ) 872?–938?
伊勢守藤原継蔭の娘。宇多天皇の中宮温子に仕え、宇多天皇の皇子を産んだ。のち敦慶親王との間に娘の中務(歌人)を産んだ。『古今和歌集』に女性歌人として最も多い歌が入る。三十六歌仙の一人。 - 出典
- 『古今和歌集』巻第一・春歌上・44番
- 歌体
- 短歌
- 状況
- 詞書「水のほとりに梅の花の咲けりけるを詠める」(水のほとりに梅の花が咲いていたのを詠んだ歌)。
修辞
- 見立て
- 水面を鏡に見立てる。
- 縁語
- 「鏡」「くもる」。
解説
前の歌に続く伊勢の作。鏡と曇りの縁語で、水面を覆う落花を描く。
関連
出典
- 底本
- 有朋堂文庫『古今和歌集・後撰和歌集』 塚本哲三校訂、有朋堂書店、大正15年(1926)、8頁(コマ17)。正保四年版『八代集』を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
- 更新日