古今和歌集 巻第一 春歌上 40番
月夜には
月の明るい夜には、梅の花は月の光にまぎれてそれとも見えない。香をたずねてこそ、ありかがわかるのだった。

現代語訳
〔詞書〕月夜に「梅の花を折って」と人が言ったので、折るといって詠んだ歌。
月の明るい夜には、梅の花は月の光にまぎれてそれとも見えない。香をたずねてこそ、ありかがわかるのだった。
意訳
白梅は白い月光にまぎれて見分けられない。だから香を頼りに探すしかない、と月光の白さと梅の白さを重ね、香の大切さを詠む。
語釈・文法注
- それとも見えず
- それ(梅)とも見分けられない。
- 知るべかりける
- 知るべきであった。
和歌
- 作者
- 凡河内躬恒(おおしこうちのみつね) 生没年未詳(九世紀末〜十世紀前半)
『古今和歌集』の撰者の一人。甲斐少目・和泉大掾など地方の下級官人を務めたが、歌才は宇多・醍醐両天皇に重んじられ、屏風歌や歌合で活躍した。貫之と並ぶ歌人とされる。三十六歌仙の一人。 - 出典
- 『古今和歌集』巻第一・春歌上・40番
- 歌体
- 短歌
- 状況
- 詞書「月夜に梅の花を折りてと人のいひければをるとてよめる」(月夜に「梅の花を折って」と人が言ったので、折るといって詠んだ歌)。
解説
月光と白梅が溶け合う幻想的な情景を、理知的な言い回しで表した躬恒の歌。
関連
出典
- 底本
- 有朋堂文庫『古今和歌集・後撰和歌集』 塚本哲三校訂、有朋堂書店、大正15年(1926)、7頁(コマ17)。正保四年版『八代集』を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
- 更新日