古今和歌集 巻第一 春歌上 38番
君ならで
あなたでなくて、ほかの誰に見せようか。梅の花の色も香も、わかる人だけがわかるのだから。

現代語訳
〔詞書〕梅の花を折って人に贈った歌。
あなたでなくて、ほかの誰に見せようか。梅の花の色も香も、わかる人だけがわかるのだから。
意訳
梅の花の色と香の真価がわかるのは、風流を解するあなただけだ、と相手をたたえて梅の枝を贈る。
語釈・文法注
- 君ならで
- あなたでなくて。
- たれにか見せむ
- 反語。誰にも見せはしない。
- 知る人ぞ知る
- わかる人にだけわかる。
和歌
- 作者
- 紀友則(きのとものり) ?–905?
『古今和歌集』の撰者の一人で、紀貫之の従兄。大内記などを務めたが、集の完成を待たずに亡くなり、巻第十六に貫之・壬生忠岑の哀悼の歌がある。のびやかで格調のある歌風で知られる。三十六歌仙の一人。 - 出典
- 『古今和歌集』巻第一・春歌上・38番
- 歌体
- 短歌
- 状況
- 詞書「梅の花を折りて人におくりける」(梅の花を折って人に贈った歌)。
解説
「知る人ぞ知る」は今日でも使われる言い回し。紀友則が親しい友に贈った歌とされる。
関連
出典
- 底本
- 有朋堂文庫『古今和歌集・後撰和歌集』 塚本哲三校訂、有朋堂書店、大正15年(1926)、7頁(コマ17)。正保四年版『八代集』を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
- 更新日