古典ライブラリー

古今和歌集 巻第一 春歌上 13番

はなの香を

紀友則(きのとものり)

花の香を風の便りに添えて、鶯を誘い出す道案内として送ることだ。

梅の香を運ぶ風が、谷の鶯を誘い出す。花の香りを道しるべとして詠んだ紀友則の歌の情景。
梅の香を運ぶ風が、谷の鶯を誘い出す。花の香りを道しるべとして詠んだ紀友則の歌の情景。
詞書
「寛平の御時后の宮の歌合の歌」(前の歌と同じ詞書)
作者
紀友則
  1. 1はなのはなのはなの香か香かかををを初句
  2. 2風かぜ風かぜかぜのたよりにのたよりにのたよりに二句
  3. 3たぐへてぞたぐへてぞたぐえてぞ三句
  4. 4鶯うぐひす鶯うぐひすうぐいすさそふさそふさそう四句
  5. 5しるべにしるべにしるべにはやるはやるはやる結句

引用の仕方

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現代語訳

花の香を風の便りに添えて、鶯を誘い出す道案内として送ることだ。

意訳

梅の花の香を風に乗せて送り、まだ谷にこもっている鶯に春の訪れを知らせ、誘い出す道しるべにする。風を使者に見立てた優美な歌。

語釈・文法注

たよりにたぐへてぞ
「たより」はついで・手段。「たぐふ」は添える。
しるべ
道案内。
やる
送る。

和歌

作者
紀友則(きのとものり) ?–905?
『古今和歌集』の撰者の一人で、紀貫之の従兄。大内記などを務めたが、集の完成を待たずに亡くなり、巻第十六に貫之・壬生忠岑の哀悼の歌がある。のびやかで格調のある歌風で知られる。三十六歌仙の一人。
出典
『古今和歌集』巻第一・春歌上・13番
歌体
短歌
状況
詞書「寛平の御時后の宮の歌合の歌」(寛平の御時、后の宮の歌合の歌)。

修辞

擬人法
風を手紙を運ぶ使者のように扱う。

解説

作者の紀友則は『古今和歌集』の撰者の一人。香を風が運ぶという発想は、のちの歌にも多く受け継がれた。

関連

出典

底本
有朋堂文庫『古今和歌集・後撰和歌集』 塚本哲三校訂、有朋堂書店、大正15年(1926)、3頁(コマ15)。正保四年版『八代集』を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
更新日