古今和歌集 巻第一 春歌上 12番
谷風に
谷を吹く風に解ける氷の隙間ごとに、ほとばしり出る波は、春の最初の花なのだろうか。

現代語訳
〔詞書〕寛平の御時、后の宮の歌合の歌。
谷を吹く風に解ける氷の隙間ごとに、ほとばしり出る波は、春の最初の花なのだろうか。
意訳
春風に谷川の氷が解けはじめ、その割れ目から白い波がわき出る。その白い波しぶきを、春いちばんに咲く花に見立てた。
語釈・文法注
- 寛平の御時后の宮の歌合
- 宇多天皇の母班子女王のもとで行われた歌合。古今集に多くの歌が採られている。
- うち出づる
- 勢いよく出る。
和歌
- 作者
- 源当純(みなもとのまさずみ) 生没年未詳
左大臣源能有の子。少納言などを務めた。 - 出典
- 『古今和歌集』巻第一・春歌上・12番
- 歌体
- 短歌
- 状況
- 詞書「寛平の御時后の宮の歌合の歌」(寛平の御時、后の宮の歌合の歌)。
修辞
- 見立て
- 氷の割れ目から出る白波を「春の初花」に見立てる。
解説
「谷風に解くる氷」は『礼記』の「東風凍を解く」をふまえる。作者の源当純は左大臣源能有の子。
関連
出典
- 底本
- 有朋堂文庫『古今和歌集・後撰和歌集』 塚本哲三校訂、有朋堂書店、大正15年(1926)、3頁(コマ15)。正保四年版『八代集』を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
- 更新日