古今和歌集 巻第一 春歌上 6番
春たてば
春になったので、花だと思って見ているのだろうか。白雪が降りかかっている枝で、鶯が鳴いている。

現代語訳
〔詞書〕雪が木に降りかかっているのを詠んだ歌。
春になったので、花だと思って見ているのだろうか。白雪が降りかかっている枝で、鶯が鳴いている。
意訳
枝に積もった雪を、鶯は春の花と見間違えて鳴いているのだろう、と鶯の心を推し量る。雪を花に見立てる趣向を、鶯の目を通して表した歌。
語釈・文法注
- はなとや見らむ
- 「や」は疑問の係助詞、「らむ」は現在推量。主語は鶯。
和歌
- 作者
- 素性法師(そせいほうし) 生没年未詳(九世紀後半〜十世紀初め)
僧正遍昭の子。俗名は良岑玄利(よしみねのはるとし)といい、父の命で出家した。雲林院や大和の石上の良因院に住み、宇多天皇・醍醐天皇の歌会や屏風歌に召された。三十六歌仙の一人。 - 出典
- 『古今和歌集』巻第一・春歌上・6番
- 歌体
- 短歌
- 状況
- 詞書「雪の木に降りかかれるをよめる」(雪が木に降りかかっているのを詠んだ歌)。
修辞
- 見立て
- 枝に積もった白雪を花に見立てる。
解説
雪を花に見立てるのは古今集で好まれた表現である。ここでは作者の見立てを鶯の誤認として示しており、素性法師らしい機知が感じられる。
関連
出典
- 底本
- 有朋堂文庫『古今和歌集・後撰和歌集』 塚本哲三校訂、有朋堂書店、大正15年(1926)、2頁(コマ14)。正保四年版『八代集』を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
- 更新日