古今和歌集 巻第一 春歌上 5番
梅が枝に
梅の枝に来てとまっている鶯が、春を待ちかねて鳴いているけれど、まだ雪は降り続いている。

現代語訳
〔詞書〕題しらず。
梅の枝に来てとまっている鶯が、春を待ちかねて鳴いているけれど、まだ雪は降り続いている。
意訳
鶯は春の到来を告げるように梅の枝で鳴きはじめたのに、季節はなお冬の名残で雪が降っている。春を待つ鶯と、まだ去らない冬とのせめぎ合いを描く。
語釈・文法注
- きゐる
- 「来居る」。来てとまっている。
- はるかけて
- 春を心にかけて、春を待ち望んで。
- ふりつつ
- 「つつ」は継続。
和歌
- 作者
- 読人しらず(よみびとしらず)
作者の名が伝わらない歌。『古今和歌集』の約四割を占め、撰者の時代より古い歌や、民謡・宴席で歌い継がれた歌、身分の低い人や女性の歌などを含む。 - 出典
- 『古今和歌集』巻第一・春歌上・5番
- 歌体
- 短歌
- 状況
- 題しらず(詠まれた事情は伝わらない)。
解説
梅・鶯・雪という早春の景物をそろえた歌。巻頭近くの歌は、雪の残る初春から次第に春が深まる順に並べられている。
関連
出典
- 底本
- 有朋堂文庫『古今和歌集・後撰和歌集』 塚本哲三校訂、有朋堂書店、大正15年(1926)、2頁(コマ14)。正保四年版『八代集』を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
- 更新日