古今和歌集 巻第一 春歌上 7番
心ざし
深く心を寄せて折ったので、消えきらずに残っている雪が、花のように見えるのだろう。

現代語訳
深く心を寄せて折ったので、消えきらずに残っている雪が、花のように見えるのだろう。
〔左注〕ある人が言うには、前太政大臣(藤原良房)の歌である。
意訳
春を待ち望む心を深くこめて手折った枝なので、その枝に残る雪までが花に見えるのだろう、と思いの深さが見え方まで変えることを詠む。
語釈・文法注
- そめてし
- 「心を染める」は深く思いを寄せること。
- 消えあへぬ
- 消えきらない。「あふ」は「すっかり…しきる」意。
- 見ゆらむ
- 原因を推量する「らむ」。
和歌
- 作者
- 読人しらず(よみびとしらず)
作者の名が伝わらない歌。『古今和歌集』の約四割を占め、撰者の時代より古い歌や、民謡・宴席で歌い継がれた歌、身分の低い人や女性の歌などを含む。 - 出典
- 『古今和歌集』巻第一・春歌上・7番
- 歌体
- 短歌
- 状況
- 題しらず(詠まれた事情は伝わらない)。
修辞
- 掛詞
- 「をりければ」に「折りければ」と、「居りければ(そのままでいたので)」をかけるとする説もある。
解説
左注は、この歌を「さきのおほきおほいまうち君(前太政大臣・藤原良房)」の歌とする説を伝える。
関連
出典
- 底本
- 有朋堂文庫『古今和歌集・後撰和歌集』 塚本哲三校訂、有朋堂書店、大正15年(1926)、2頁(コマ14)。正保四年版『八代集』を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
- 更新日