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源氏物語 第52帖 蜻蛉(22)

小宰相の君

登場人物:小宰相の君・匂宮・薫・明石の中宮

小宰相の君は、同じ琴を掻き鳴らす爪音も撥音も人にまさり、手紙を書き、ちょっとした物を言っても、由緒ある趣を添えていた。この宮(匂宮)も長年たいそう気に入っていらして、いつものように言い寄りなさるが、どうしてそのようにありふれたようになろうかと、気強く憎らしい様子なのを、まじめ人(薫)は少し人とは違っているとお思いになっていたのだった。薫がこのように物思いをしていらっしゃる様子も知っていたので、こらえかねて申し上げた。「あはれしる心は人におくれねど数ならぬ身にきえつつぞふる。代えられるものなら」と、趣のある紙に書いてある。物悲しい夕暮のしめやかな頃をたいそうよく推し量って言ったのも憎くない。薫は「つれなしとここら世を見るうき身だに人の知るまで歎きやはする。このお見舞いのうれしさは、哀れだった折からもいっそうで」などとお礼を言いに立ち寄りなさった。たいそう気後れするほど重々しく、普通はこのようなことなどもなさらない人柄も高貴なのに、たいそう粗末な住まいである。局などといって狭く小さい遣戸口に寄りかかっていらっしゃるのを、小宰相はきまり悪く思うが、さすがにあまり卑下もせず、たいそうよい程度に話なども申し上げる。薫は、亡き人よりもこの人は奥ゆかしい気配が添っているな、どうしてこのように宮仕えに出たのだろう、そうした者として自分も置いておけばよかったのにとお思いになる。人知れぬ筋のことは、全くお見せにならない。蓮の花の盛りに、明石の中宮が御八講を催される。六条院(光源氏)の御ため、紫の上など皆それぞれお分けになって、御経や仏などを供養させなさって、厳めしく尊いものとなった。五巻の日などはたいそうな見物だったので、あちらこちらの女房について参って見物する人が多かった。

  1. 1同おな同おなおなじじじことことことををを搔か搔かかきききならすならすならすつまつまつま音おと音おとおともももばちばちばち音おと音おとおとももも人ひと人ひとひとにににはははまさりまさりまさり文ふみ文ふみふみをををかきかきかき物もの物ものものうちうちうちいひいひいいたるたるたるもももよしよしよしあるあるあるふしふしふしをををなむなむなんそへそへそえたりたりたりけるけるける。。。このこのこの宮みや宮みやみやももも年とし年としとし比ごろ比ごろごろいといといといたきいたきいたきものものものにににししし給たま給たまたまひひいててて例れい例れいれいのののいひいひいいやぶりやぶりやぶり給たま給たまたまへへえどどど、、、などなどなどかかかさしもさしもさしもめづらしげめづらしげめずらしげなくなくなくはははあらあらあらむむんととと心こころ心こころこころ强つよ强つよつよくくくねたきねたきねたきさまさまさまなるなるなるををを、、、まめまめまめ人びと人びとびとはははすこしすこしすこし人ひと人ひとひとよりよりより異こと異ことことなりなりなりとととおぼすおぼすおぼすににになむなむなんありありありけるけるける。。。かくかくかく物もの物ものものおぼしおぼしおぼしたるたるたるさまさまさまももも見み見みみ知し知ししりりりけれけれければばば忍しの忍しのしのびびびあまりあまりあまりててて聞きこ聞きこきこえええたりたりたり。。。「「「あはれあはれあわれしるしるしる心こころ心こころこころははは人ひと人ひとひとにににおくれおくれおくれねねねどどど數かず數かずかずならならならぬぬぬ身み身みみにににきえきえきえつゝつゝつつぞぞぞふるふるふる。。。かへかへかへたらたらたらばばば」」」とととゆゑゆゑゆえあるあるある紙かみ紙かみかみににに書か書かかきききたりたりたり。。。物もの物ものもの哀あはれ哀あはれあわれなるなるなる夕ゆふ夕ゆふゆうぐれぐれぐれしめやかしめやかしめやかなるなるなるほどほどほどをををいといといとよくよくよく推お推おおししし量はか量はかはかりりりててていひいひいいたるたるたるもももにくからにくからにくからずずず。。。「「「つれなしつれなしつれなしとととこゝらこゝらここら世よ世よよををを見み見みみるるるうきうきうき身み身みみだにだにだに人ひと人ひとひとののの知し知ししるるるまでまでまで歎なげ歎なげなげきききやはやはやはするするする。。。このこのこのよろこびよろこびよろこび哀あはれ哀あはれあわれなりなりなりししし折をり折をりおりからからからもももいとゞいとゞいとどなむなむなん」」」などなどなど云い云いいひひいににに立た立たたちちちよりよりより給たま給たまたまへへえりりり。。。いといといと耻はづか耻はづかはずかしげしげしげにににものものものものしげものしげものしげにてにてにてなべてなべてなべてかやうかやうかようににになどなどなどもももならはしならはしならわし給たま給たまたまははわぬぬぬ人ひと人ひとひとからからからもももやんごとなきやんごとなきやんごとなきにににいといといと物もの物ものものはかなきはかなきはかなき住すま住すますまひひいなりなりなりかしかしかし。。。
  2. 2つぼねつぼねつぼねなどなどなどいひいひいいてててせばくせばくせばくほどほどほどなきなきなきやりやりやりどどどぐちぐちぐちににによりよりより居ゐ居ゐい給たま給たまたまへへえるるる、、、かたはらいたくかたはらいたくかたわらいたく覺おぼ覺おぼおぼゆれゆれゆれどどど、、、さすがさすがさすがにににあまりあまりあまりひげひげひげしししてててもももあらあらあらでででいといといとよきよきよき程ほど程ほどほどににに物もの物ものものなどなどなどももも聞きこ聞きこきこゆゆゆ。。。見み見みみししし人ひと人ひとひとよりよりよりもももこれこれこれははは心こころ心こころこころにくきにくきにくきけけけそひそひそいてててもももあるあるあるかなかなかな、、、などなどなどてててかくかくかく出い出いいでででたちたちたちけむけむけん、、、さるさるさるものものものにてにてにて我わ我わわもももおいおいおいたらたらたらましましましものものものをををとととおぼすおぼすおぼす。。。人ひと人ひとひとしれしれしれぬぬぬすぢすぢすじはははかけかけかけてててももも見み見みみせせせ給たま給たまたまははわずずずはちすはちすはちすののの花はな花はなはなののの盛さかり盛さかりさかりににに御おん御おんおん八はつ八はつはつ講かう講かうこうせせせらるらるらる。。。六ろく六ろくろく條でう條でうじょう院ゐん院ゐんいんののの御おん御おんおんためためため紫むらさき紫むらさきむらさきののの上うへ上うへうえなどなどなど皆みな皆みなみなおぼしおぼしおぼしわけわけわけつゝつゝつつ御おん御おんおん經きやう經きやうきょう佛ほとけ佛ほとけほとけなどなどなど供く供くく養やう養やうようせせせさせさせさせ給たま給たまたまひひいててていかめしくいかめしくいかめしく尊たふと尊たふととうとくくくなむなむなんなりなりなりけるけるける。。。五ご五ごご卷くわん卷くわんかんののの日ひ日ひひなどなどなどはははいみじきいみじきいみじき見み見みみ物もの物ものものなりなりなりけれけれければばば、、、こなたこなたこなたかなたかなたかなた女房にようばう女房にようばうにょうぼうにににつきつきつきててて參まゐ參まゐまいりりりててて物もの物ものもの見み見みみるるる人ひと人ひとひと多おほ多おほおおかりかりかりけりけりけり。。。

引用の仕方

レポート・論文で引用する場合の表記例です。行番号を選んでから開くと、その行へのリンクになります。

現代語訳

同じ琴を掻き鳴らす爪音も撥音も人にまさり、手紙を書き、ちょっとした物を言っても、由緒ある趣を添えていた。この宮も長年たいそう気に入っていらして、いつものように言い寄りなさるが、どうしてそのようにありふれたようになろうかと、気強く憎らしい様子なのを、まじめ人は少し人とは違っているとお思いになっていたのだった。このように物思いをしていらっしゃる様子も知っていたので、こらえかねて申し上げた。「哀れを知る心は人に劣りませんが、人数でもない身なので、消え入るように過ごしております。代えられるものなら」と、趣のある紙に書いてある。物悲しい夕暮のしめやかな頃をたいそうよく推し量って言ったのも憎くない。「平然としていると多くの人に見られるつらい身でさえ、人に知られるほど嘆いているでしょうか。このお見舞いのうれしさは、哀れだった折からもいっそうで」などとお礼を言いに立ち寄りなさった。たいそう気後れするほど重々しく、普通はこのようなことなどもなさらない人柄も高貴なのに、たいそう粗末な住まいである。

局などといって狭く小さい遣戸口に寄りかかっていらっしゃるのを、きまり悪く思うが、さすがにあまり卑下もせず、たいそうよい程度に話なども申し上げる。亡き人よりもこの人は奥ゆかしい気配が添っているな、どうしてこのように宮仕えに出たのだろう、そうした者として自分も置いておけばよかったのにとお思いになる。人知れぬ筋のことは、全くお見せにならない。蓮の花の盛りに、御八講を催される。六条院の御ため、紫の上など皆それぞれお分けになって、御経や仏などを供養させなさって、厳めしく尊いものとなった。五巻の日などはたいそうな見物だったので、あちらこちらの女房について参って見物する人が多かった。

意訳

小宰相の君は琴も手紙も優れた女房で、匂宮の誘いもはねつける気丈さを薫は評価していた。小宰相は、浮舟を失った薫の悲しみを察して、哀れを知る心は人に劣らないと慰めの歌を贈る。薫は感謝して小宰相の狭い局を訪ね、浮舟よりも奥ゆかしい人だと思う。夏、明石の中宮は光源氏や紫の上のために法華八講を催し、五巻の日は多くの見物人で賑わった。

語釈・文法注

文法

「いひやぶり」(例のいひやぶり給へど)
言い破る。口説き落とそうとする。
「御八講」(はちすの花の盛に御八講せらる)
法華八講。法華経八巻を八座に分けて講じる法会。
「五卷の日」(五卷の日などはいみじき見物なりければ)
法華経第五巻を講じる日。提婆達多品を含み、特に盛大に行われた。

解説

小宰相の君は、匂宮をはねつけ、薫に心を寄せる気丈な女性である。浮舟とは対照的な、自分の意思を持つ女性として描かれる。

薫は小宰相を「見し人よりも心にくし」と思う。浮舟を失った悲しみの中でも、ほかの女性に心を動かされる薫の姿には、人間の複雑さが表れている。

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出典

底本
丸岡桂・松下大三郎編『国文大観』物語部2(源氏物語 下) 板倉屋書房、明治36年(1903)、1176–1177頁(コマ299)。国立国会図書館デジタルコレクション
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部
更新日