源氏物語 第51帖 浮舟(17)
中の君を責める匂宮
宮もまじめになりなさって、「本当につらいとお思い申し上げることがあったら、どうお思いになるだろう。私はあなたにとっていいかげんな者だろうか。人も珍しいほどだなどと咎めるまでなのに。あなたは人に比べてこの上なく私を見下していらっしゃるようだ。それも然るべき宿縁なのだと納得されるが、隔てを置きなさるお心の深いことが、たいそう情けない」とおっしゃるにつけても、宿縁が浅くなくて尋ね寄ったのだとお思い出しになると、涙ぐまれた。中の君は、まじめなのを気の毒に、どのようなことをお聞きになったのだろうと驚かれて、お答え申し上げようもない。頼りない様子で見初めなさったので、何事も軽く推し量りなさるのだろう、縁もない人(薫)を頼りにして、その好意を思い知り始めなどした過ちばかりのために、軽く思われる身なのだとお思い続けになるにつけても、万事悲しくて、いっそう可憐なご様子である。宮は、あの人を見つけたとは、しばらくお知らせ申し上げまいとお思いになるので、別のことと思わせて恨みなさるのを、中の君は、ただこの大将のことを本気でおっしゃるのだとお思いになって、誰かが嘘を確かなことのように申し上げたのだろうなどとお思いになる。事の真偽を聞かないうちは、お目にかかるのも恥ずかしい。内裏から大宮のお手紙があったので驚きなさって、なおお心の解けないご様子で、あちらにお移りになった。「昨日の気がかりなことで、ご気分が悪いとお思いだそうですね。よろしければ参内なさい。久しくもなってしまったので」などと申し上げなさったので、騒がれ申し上げるのもつらいが、本当にご気分もすぐれないようで、その日は参内なさらない。上達部なども大勢参られるが、御簾の中でお過ごしになる。夕方、右大将が参られた。「こちらへ」と言って、くつろいだ姿のまま対面なさった。薫は「お加減が悪くいらっしゃると伺いましたので、宮(中宮)もたいそう気がかりにお思いになって。どのようなご病気かとお尋ね申し上げなさいます」と申し上げなさる。
- 1宮宮みやもももまめまめまめだちだちだち給給たまひひいててて、、、「「「誠誠まことにににつらしつらしつらしととと思思おもひひい聞聞きこゆるゆるゆることことこともももあらあらあらむむんははは、、、いかゞいかゞいかがおぼさおぼさおぼさるるるべきべきべき。。。まろまろまろははは御御おんためためためにににはははおろかおろかおろかなるなるなる人人ひとかはかはかは。。。人人ひともももありがたしありがたしありがたしなどなどなど咎咎とがむるむるむるまでまでまでこそこそこそあれあれあれ。。。人人ひとにににはははこよなうこよなうこよのう思思おもひひいおとしおとしおとし給給たまふふうべかべかべかめりめりめり。。。それそれそれもももさるべきさるべきさるべきにににこそこそこそはははとととことわらことわらことわらるゝるゝるるををを隔隔へだててて給給たまふふう御心御心みこころののの深深ふかきききなむなむなん、、、いといといと心心こころうううききき」」」とととのたまふのたまふのたまうにににももも、、、宿宿すく世世せのののおろかおろかおろかならならならででで尋尋たずねねねよりよりよりたるたるたるぞぞぞかしかしかしとととおぼしおぼしおぼし出出いづるづるずるににに、、、淚淚なみだぐまぐまぐまれれれぬぬぬ。。。まめやかまめやかまめやかなるなるなるをををいとほしういとほしういとおしゅう、、、いかいかいかやうやうようなるなるなる事事ことををを聞聞きききき給給たまへへえるるるならならならむむんととと驚驚おどろかかかるゝるゝるるににに、、、いらへいらへいらえ聞聞きこえええ給給たまははわむむんことことこともももなしなしなし。。。物物ものはかなきはかなきはかなきさまさまさまにてにてにて見見みそめそめそめ給給たまひひいしししににに、、、何何なに事事ことをををももも輕輕かろらからからかににに推推おししし量量はかりりり給給たまふふうにににこそこそこそはははあらあらあらめめめ、、、すゞろすゞろすずろなるなるなる人人ひとをををしるべしるべしるべにてにてにて、、、そのそのその心心こころよせよせよせををを思思おもひひい知知しりりりはじめはじめはじめなどなどなどしししたるたるたるあやまちあやまちあやまちばかりばかりばかりににに、、、覺覺おぼえええ劣劣おとるるる身身みにににこそこそこそとととおぼしおぼしおぼしつゞくるつゞくるつづくるももも、、、よろづよろづよろず悲悲かなしくしくしくててて、、、いとゞいとゞいとどらうたげらうたげろうたげなるなるなる御御おんけはひけはひけはいなりなりなり。。。
- 2かのかのかの人人ひと見見みつけつけつけたりたりたりとととははは、、、しばししばししばし知知しらせらせらせ奉奉たてまつらららじじじとととおぼせおぼせおぼせばばば、、、ことことことざまざまざまににに思思おもははわせせせててて怨怨うらみみみ給給たまふふうををを、、、たゞたゞただこのこのこの大大たい將將しょうののの御御おん事事ことををを、、、まめまめしくまめまめしくまめまめしくのたまふのたまふのたまうとととおぼすおぼすおぼすににに、、、人人ひとやややそらそらそらごとごとごとをををたしかたしかたしかなるなるなるやうやうようににに聞聞きこえええたらたらたらむむんなどなどなどおぼすおぼすおぼす。。。ありありありやややなしなしなしやややををを聞聞きかかかぬぬぬまままははは見見みえええ奉奉たてまつらららむむんもももはづかしはづかしはずかし。。。うちうちうちよりよりより大大おお宮宮みやののの御御おん文文ふみあるあるあるににに驚驚おどろききき給給たまひひいててて猶猶なお心心こころ解解とけけけぬぬぬ御御おん氣色氣色けしきにてにてにて、、、あなたあなたあなたににに渡渡わたりりり給給たまひひいぬぬぬ。。。「「「きのふきのふきのうのののおぼつかなさおぼつかなさおぼつかなさををを惱惱なやましししくくくおぼさおぼさおぼされれれたなるたなるたなる。。。よろしくよろしくよろしくばばば參參まいりりり給給たまへへえ久久ひさしうしうしゅうもももなりなりなりにににけるけるけるををを」」」などなどなどやうやうようににに聞聞きこえええ給給たまへへえれれればばば、、、さわがさわがさわがれれれ奉奉たてまつらららむむんももも苦苦くるしけれしけれしけれどどど、、、誠誠まことににに御御おん心地心地ここちもももたがひたがひたがいたるたるたるやうやうようにてにてにて、、、そのそのその日日ひははは參參まいりりり給給たまははわずずず。。。上上かん達達だち部部めなどなどなどあまたあまたあまた參參まいりりり給給たまへへえどどど、、、みみみ簾簾すののの內內うちにてにてにてくらしくらしくらし給給たまふふう。。。夕夕ゆうつつつ方方かた右右う大大だい將將しょう參參まいりりり給給たまへへえりりり。。。「「「こなたこなたこなたにににををを」」」とてとてとて、、、うちうちうち解解とけけけながらながらながらたいたいたいめんめんめんししし給給たまへへえりりり。。。「「「惱惱なやましげましげましげににに坐坐おわしましましますすすととと侍侍はべりりりつれつれつればばば、、、宮宮みやにににもももいといといとおぼつかなくおぼつかなくおぼつかなく思思おぼししし召召めしししてててなむなむなん。。。いかいかいかやうやうようなるなるなる御御おん惱惱なやみにににかかかととと聞聞きこえええ給給たまふふう。。。
現代語訳
宮もまじめになりなさって、「本当につらいとお思い申し上げることがあったら、どうお思いになるだろう。私はあなたにとっていいかげんな者だろうか。人も珍しいほどだなどと咎めるまでなのに。人に比べてこの上なく見下していらっしゃるようだ。それも然るべき宿縁なのだと納得されるが、隔てを置きなさるお心の深いことが、たいそう情けない」とおっしゃるにつけても、宿縁が浅くなくて尋ね寄ったのだとお思い出しになると、涙ぐまれた。まじめなのを気の毒に、どのようなことをお聞きになったのだろうと驚かれて、お答え申し上げようもない。頼りない様子で見初めなさったので、何事も軽く推し量りなさるのだろう、縁もない人を頼りにして、その好意を思い知り始めなどした過ちばかりのために、軽く思われる身なのだとお思い続けになるにつけても、万事悲しくて、いっそう可憐なご様子である。
あの人を見つけたとは、しばらくお知らせ申し上げまいとお思いになるので、別のことと思わせて恨みなさるのを、ただこの大将のことを本気でおっしゃるのだとお思いになって、誰かが嘘を確かなことのように申し上げたのだろうなどとお思いになる。事の真偽を聞かないうちは、お目にかかるのも恥ずかしい。内裏から大宮のお手紙があったので驚きなさって、なおお心の解けないご様子で、あちらにお移りになった。「昨日の気がかりなことで、ご気分が悪いとお思いだそうですね。よろしければ参内なさい。久しくもなってしまったので」などと申し上げなさったので、騒がれ申し上げるのもつらいが、本当にご気分もすぐれないようで、その日は参内なさらない。上達部なども大勢参られるが、御簾の中でお過ごしになる。夕方、右大将が参られた。「こちらへ」と言って、くつろいだ姿のまま対面なさった。「お加減が悪くいらっしゃると伺いましたので、宮もたいそう気がかりにお思いになって。どのようなご病気かと」と申し上げなさる。
意訳
匂宮はまじめな顔で、中の君が自分に隠し事をしていると責める。中の君は、匂宮が薫とのことを疑っていると思い込み、薫を頼った過ちのために軽く見られるのだと悲しむ。匂宮は浮舟を見つけたことはしばらく隠そうとしている。明石の中宮から参内を促す手紙が来るが、匂宮は気分が悪いと参内せず、夕方、薫が見舞いに訪れる。
語釈・文法注
文法
- 「まめだち」(宮もまめだち給ひて)
- まじめな態度をとる。
- 「ことわらるゝ」(それもさるべきにこそはとことわらるゝを)
- 道理として納得される。
- 「ありやなしや」(ありやなしやを聞かぬまは)
- 事の真偽。
解説
匂宮は浮舟のことを隠しながら、中の君を責める。中の君は誤解して自分を責め、二人の間に深い溝が生じる。匂宮の不実が、中の君の苦しみを増していく。
匂宮の見舞いに薫が訪れる。浮舟をめぐる二人の対面は、表面上は平穏でありながら、緊張に満ちている。
関連
出典
- 底本
- 丸岡桂・松下大三郎編『国文大観』物語部2(源氏物語 下) 板倉屋書房、明治36年(1903)、1124–1125頁(コマ273)。国立国会図書館デジタルコレクション
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部
- 更新日