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源氏物語 第49帖 宿木(60)

貌鳥の歌

登場人物:薫・弁・浮舟・中将の君

薫が「折よくうれしく来合わせたが、どうだろう、あの申し上げたことは」とおっしゃると、尼君は「そのように仰せがございましてからは、然るべき機会がございましたらと待っておりましたが、去年は過ぎて、この二月に、初瀬詣でのついでに対面いたしました。あの母君に、お考えになっているご様子はほのめかしましたところ、たいそう恐れ多くもったいないおなぞらえだと申しておりましたが、その頃はお暇もおありでないと承りましたので、折が悪いと遠慮しまして、こうしたこともお伝えしませんでしたのに、またこの月にも参詣して今日帰られたようです。行き帰りの中宿りには、こうして親しくしてくださるのも、ただ亡き八の宮のご様子を尋ね申し上げたいからのようです。あの母君は差し支えがあって、このたびは姫君お一人でいらっしゃるようなので、こうしてあなた様がいらっしゃるとも、何をお伝えしましょう」と申し上げる。薫は「田舎びた人たちに、忍んでやつした外出も見られまいと口止めしたが、どうだろう。下人たちは隠しおおせまい。さてどうしたらよかろう。一人でいらっしゃるのは、かえって気安いだろう。こうして宿縁が深くて来合わせたのだとお伝えください」とおっしゃると、尼君は「いきなり、いつの間にできたご宿縁でしょう」と笑って、「それではそうお伝えしましょう」と言って奥に入るので、薫は、貌鳥の声も昔聞いた声に似ているかと、茂みを分けて今日訪ねてきたと詠む。ただ口ずさむようにおっしゃったのを、尼君は入って浮舟にお話し申し上げた。

  1. 1「「「をりをりおりしもしもしも嬉うれ嬉うれうれしくしくしくまうでまうでもうできききあひあひあいたるたるたるをををいかにいかにいかにぞぞぞ、、、かのかのかの聞きこ聞きこきこえええしししことことことははは」」」とととのたまへのたまへのたまえばばば「「「しかしかしかおほせおほせおおせごとごとごと侍はべ侍はべはべりりりししし後のち後のちのちははは、、、さるべきさるべきさるべきついでついでついで侍はべ侍はべはべらららばばばととと待ま待ままちちち侍はべ侍はべはべりりりしししににに、、、こぞこぞこぞははは過す過すすぎぎぎてててこのこのこの二きさ二きさきさ月らぎ月らぎらぎににになむなむなん、、、初はつ初はつはつ瀨せ瀨せせ詣まうで詣まうでもうでのののたよりたよりたよりににに對たい對たいたい面めん面めんめんしししててて侍はべ侍はべはべりりりししし。。。かのかのかの母はゝ母はゝはは君ぎみ君ぎみぎみににに思おぼ思おぼおぼししし召め召めめしししたるたるたるさまさまさまははは、、、ほのめかしほのめかしほのめかし侍はべ侍はべはべりりりしかしかしかばばば、、、いといといとかたはらいたくかたはらいたくかたわらいたく忝かたじけな忝かたじけなかたじけなききき御おん御おんおんよそへよそへよそえにににこそこそこそははは侍はべ侍はべはべるるるなれなれなれとととなむなむなん侍はべ侍はべはべりりりしかしかしかどどど、、、そのそのそのころころころほひほひほいはははのどやかのどやかのどやかにににもももおはしまさおはしまさおわしまさずずずとととうけうけうけ給たま給たまたまはりはりわりししし。。。をりをりおりびんなくびんなくびんなく思おも思おもおもひひい給たま給たまたまへへえつゝみつゝみつつみてててなむなむなん、、、かくかくかくなどなどなどももも聞きこ聞きこきこえええさせさせさせ侍はべ侍はべはべらららざりざりざりしししををを、、、又また又またまたこのこのこの月つき月つきつきにににもももまうでまうでもうでゝゝてけふけふきょう歸かへ歸かへかえりりり給たま給たまたまへへえるるるなななめりめりめり。。。行ゆ行ゆゆきききかへりかへりかえりののの中なか中なかなかやどりやどりやどりにににははは、、、かうかうこうむつびむつびむつびらるゝらるゝらるるももも唯たゞ唯たゞただ過す過すすぎぎぎにににししし御おん御おんおんけはひけはひけはいををを尋たづ尋たづたずねねね聞きこ聞きこきこえええらるゝらるゝらるる故ゆゑ故ゆゑゆえににになむなむなん侍はべ侍はべはべるるるめるめるめる。。。かのかのかの母はゝ母はゝはは君ぎみ君ぎみぎみはははさはるさはるさわることことことありありありててて、、、このこのこのたびたびたびはははひとりひとりひとり物もの物ものものししし給たま給たまたまふふうめれめれめればばば、、、かくかくかくおはしますおはしますおわしますともともとも何なに何なになにかかかははは物もの物ものものししし侍はべ侍はべはべらららむむん」」」ととと聞きこ聞きこきこゆゆゆ。。。
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引用の仕方

レポート・論文で引用する場合の表記例です。行番号を選んでから開くと、その行へのリンクになります。

現代語訳

薫が「折よくうれしく来合わせたが、どうだろう、あの申し上げたことは」とおっしゃると、尼君は「そのように仰せごとがございましてから後は、然るべき機会がございましたらと待っておりましたが、去年は過ぎて、この二月に、初瀬詣でのついでに対面いたしました。あの母君に、お考えになっているご様子はほのめかしましたところ、たいそうきまり悪く、もったいないおなぞらえでございますと申しておりましたが、その頃は、お暇もおありでないと承りました。折が悪いと遠慮しまして、このようなこともお伝え申し上げませんでしたのに、またこの月にも参詣して、今日お帰りになったようです。行き帰りの中宿りには、こうして親しくしてくださるのも、ただ亡き宮のご様子を尋ね申し上げたいからのようでございます。あの母君は差し支えがあって、このたびはお一人でいらっしゃるようなので、こうしてあなた様がいらっしゃるとも、何をお伝えいたしましょう」と申し上げる。

薫は「田舎びた人たちに、忍んでやつした外出も見られまいと口止めしたが、どうだろう。下人たちは隠しおおせまい。さて、どうしたらよかろう。お一人でいらっしゃるのは、かえって気安いだろう。こうして宿縁が深くて来合わせたのだと、お伝えください」とおっしゃると、尼君は「いきなり、いつの間にできたご宿縁でしょう」と笑って、「それでは、そうお伝えいたしましょう」と言って奥へ入るので、「貌鳥の声も、昔聞いた声に似ているかと、茂みを分けて今日訪ねてきたのです」。ただ口ずさむようにおっしゃったのを、尼君は入ってお話し申し上げたのだった。

意訳

薫は弁に浮舟のことを尋ねる。弁は、二月の初瀬詣での折に浮舟と対面し、母君に薫の意向をほのめかしたが、母君は恐れ多いと言っていたと語る。浮舟は行き帰りに宇治に泊まり、亡き八の宮を偲んでいるという。今回は母君が同行していない。薫は、宿縁があって来合わせたと浮舟に伝えてほしいと頼み、弁は笑って引き受ける。薫は、昔聞いた声に似ているかと茂みを分けて訪ねてきたと貌鳥の歌を詠み、弁はそれを浮舟に伝える。

語釈・文法注

文法

「御よそへ」(いとかたはらいたく忝き御よそへにこそは侍るなれ)
なぞらえ。浮舟を大君になぞらえる薫の意向。
「かほ鳥」(かほ鳥の聲もきゝしにかよふやと)
貌鳥。春の鳥。顔の美しい鳥とされる。「顔」に浮舟の容貌を掛ける。
「しげみをわけて」(しげみをわけて今日ぞ尋ぬる)
茂みを分けて。宇治の山道を分けて訪ねてきたこと。

解説

宿木の帖は、薫が浮舟に初めて言葉を届けるところで終わる。「かほ鳥の聲もきゝしにかよふや」という歌は、浮舟の声が大君の声に似ているかを確かめたいという薫の思いである。浮舟は最初から、大君との比較の中で見られている。

次の東屋の帖で、浮舟の母中将の君が登場し、浮舟の縁談と、匂宮との出会いが描かれる。宇治十帖の後半を担う浮舟の物語が、ここから本格的に始まる。

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出典

底本
丸岡桂・松下大三郎編『国文大観』物語部2(源氏物語 下) 板倉屋書房、明治36年(1903)、1064–1065頁(コマ243)。国立国会図書館デジタルコレクション
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部
更新日