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源氏物語 第49帖 宿木(17)

後朝の涙

登場人物:匂宮・中の君

寝乱れた匂宮のお姿がたいそうすばらしく見どころがあって入っていらしたので、中の君は臥せっているのも嫌なので少し起き上がっていると、ほんのり赤らんだ顔の美しさなどが今朝は格別に愛らしさがまさって見えるので、匂宮はわけもなく涙ぐまれて、しばらく見つめていると、中の君は恥ずかしく思ってうつむく。その髪のかかり具合や生え際などは、やはりたいそうめったにないほどである。匂宮も何となくきまり悪くて、細やかなことはすぐには言い出せず、照れ隠しだろうか、「どうしてこうも気分が悪そうなご様子なのだろう。暑い時期のこととおっしゃっていたので、早く涼しくなるのを待っていたが、やはりすっきりしないのは困ったことだ。いろいろ祈祷をさせても妙に効き目がない気ばかりする。それでも修法はまた延長するのがよいだろう。効験のある僧がいればよいが。何某の僧都を夜居に控えさせるべきだった」などのような真面目なことをおっしゃるので、中の君はこういう方面でも口の上手なのは不快に思うが、全く返事をしないのもいつもと違うので、「昔も妙に人と違った様子で、このような時はございましたが、自然とよく治るものです」と言うと、匂宮は「ずいぶんさっぱりしたものだね」と笑って、親しみやすく愛嬌のある点ではこの人に並ぶ人はいまいと思いながら、やはりまた早く六の君のもとへ行きたいという気持ちの焦りも加わっていらっしゃるのは、あちらへのお志もおろかではないのだろう。けれども見ていらっしゃる間は変わる様子もないのか、来世までもと誓って頼みにさせることが尽きないのを聞くにつけても、中の君は「本当にこの世はたいそう短いようです。命の尽きるのを待つ間もつらいお心に見えそうなので、来世の約束は違わないこともあろうかと思うからこそ、やはり懲りずにまた頼みにしてしまいそうです」と言って、ひどくこらえようとしたようだが、こらえきれなかったのか、今日は泣いてしまった。

  1. 1ねねねくたれくたれくたれののの御おん御おんおんかたちかたちかたち、、、いといといとめでたくめでたくめでたくみみみどころどころどころありありありててていりいりいり給たま給たまたまへへえるるるににに、、、ふしふしふしたるたるたるもももうたてうたてうたてあれあれあればばば少すこ少すこすこししし起お起おおきききあがりあがりあがりててておはするおはするおわするににに、、、打う打ううちちち赤あか赤あかあかみみみ給たま給たまたまへへえるるる顏かほ顏かほかおのののにほひにほひにおいなどなどなど今け今けけ朝さ朝ささしもしもしもことことことにににをかしげをかしげおかしげさささまさりまさりまさりててて見み見みみえええ給たま給たまたまへへえばばば、、、あいなくあいなくあいなく淚なみだ淚なみだなみだぐまぐまぐまれれれてててしばししばししばしうちうちうちまもりまもりまもり聞きこ聞きこきこえええ給たま給たまたまふふうををを、、、恥はづか恥はづかはずかしくしくしくおぼしおぼしおぼしてててうちうちうちうつぶしうつぶしうつぶし給たま給たまたまへへえるるる髮かみ髮かみかみのののかゝりかゝりかかりかんざしかんざしかんざしなどなどなど猶なほ猶なほなおいといといとありがたげありがたげありがたげなりなりなり。。。宮みや宮みやみやもももなまなまなまはしたなさはしたなさはしたなさにににこまやかこまやかこまやかなるなるなることことことなどなどなどはははふとふとふともももえええ言い言いいひひい出い出いいででで給たま給たまたまははわずずず、、、おもおもおもがくしがくしがくしにににややや、、、「「「などなどなどかくかくかくのみのみのみなやましげなやましげなやましげなるなるなる御おん御おんおんけしきけしきけしきならならならむむん。。。あつきあつきあつきほどほどほどのののことことこととととかかかのたまひのたまひのたまいしかしかしかばばば、、、いつしかいつしかいつしかとととすゞしきすゞしきすずしきほどほどほど待ま待ままちちち出い出いいでででたるたるたるももも猶なほ猶なほなおはればれしからはればれしからはればれしからぬぬぬははは見み見みみ苦ぐる苦ぐるぐるしきしきしきわざわざわざかなかなかな。。。さまざまさまざまさまざまにににせせせさするさするさすることことこともももあやしうあやしうあやしゅうしるししるししるしなきなきなき心地ここち心地ここちここちのみのみのみこそこそこそすれすれすれ。。。さささはははありありありともともともずずずほふほふほうはははまたまたまたのべのべのべてててこそこそこそはははよからよからよからめめめ。。。しるししるししるしあらあらあらむむん僧そう僧そうそうもももがながながな。。。なにがしなにがしなにがし僧そう僧そうそう都づ都づずをををぞぞぞよゐよゐよいにににさぶらはさぶらはさぶらわすすすべかりべかりべかりけるけるける」」」などなどなどやうやうようなるなるなるまめまめまめごとごとごとをををのたまへのたまへのたまえばばば、、、かゝるかゝるかかるかたかたかたにににもももことことことよきよきよきははは心こころ心こころこころづきなくづきなくずきなく覺おぼ覺おぼおぼえええ給たま給たまたまへへえどどど、、、むげむげむげにににいらへいらへいらえ聞きこ聞きこきこえええざらざらざらむむんもももれいれいれいならならならねねねばばば、、、「「「昔むかし昔むかしむかしもももあやしうあやしうあやしゅう人ひと人ひとひとににに似に似ににぬぬぬありさまありさまありさまにてにてにてかやうかやうかようののの折をり折をりおりははは侍はべ侍はべはべりりりしかしかしかどどど、、、おのづからおのづからおのずからいといといとよくよくよくをこたるをこたるおこたるものものものををを」」」とととのたまへのたまへのたまえばばば、、、
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引用の仕方

レポート・論文で引用する場合の表記例です。行番号を選んでから開くと、その行へのリンクになります。

現代語訳

寝乱れた匂宮のお姿が、たいそうすばらしく見どころがあって入っていらっしゃったので、中の君は臥せっているのも嫌なので、少し起き上がっていらっしゃると、ほんのり赤らんでいらっしゃる顔の美しさなどが、今朝は格別に愛らしさがまさってお見えになるので、匂宮はわけもなく涙ぐまれて、しばらく見つめ申し上げていらっしゃると、中の君は恥ずかしくお思いになってうつむいていらっしゃる。その髪のかかり具合や生え際などは、やはりたいそうめったにないほどである。匂宮も何となくきまり悪くて、細やかなことなどはすぐにはお言い出しになれず、照れ隠しだろうか、「どうしてこうも気分が悪そうなご様子なのだろう。暑い時期のことだとかおっしゃっていたので、早く涼しくなる頃を待っていたのに、やはりすっきりしないのは困ったことだ。いろいろさせていることも、妙に効き目がない気ばかりする。それでも修法はまた延長するのがよいだろう。効験のある僧がいればよいが。何某の僧都を夜居に控えさせるべきだった」などのような真面目なことをおっしゃるので、中の君は、このような方面でも口の上手なのは不快に思われなさるが、全くお返事申し上げないのもいつもと違うので、「昔も妙に人と違った様子で、このような折はございましたが、自然とよく治るものです」とおっしゃると、

匂宮は「ずいぶんさっぱりしたものだね」と笑って、親しみやすく愛嬌のある点では、この人に並ぶ人はいまいと思いながら、やはりまた早く六の君のもとへ行きたいという気持ちの焦りも加わっていらっしゃるのは、あちらへのお志もおろかではないのであろう。けれどもご覧になっている間は、変わる様子もないのだろうか、来世までもと誓って頼みにさせなさることどもが尽きないのを聞くにつけても、中の君は「本当にこの世はたいそう短いようです。命の尽きるのを待つ間も、つらいお心に見えそうなので、来世の約束は違わないこともあろうかと思うからこそ、やはり懲りずにまた頼みにしてしまいそうです」と言って、ひどくこらえようとしたようだが、こらえきれなかったのだろうか、今日は泣いてしまわれた。

意訳

六の君のもとから戻った匂宮は、中の君の美しさに涙ぐむ。気まずさから、匂宮は中の君の体調や修法の話をする。中の君は口の上手さを不快に思いつつ、昔もこうだったが自然に治ると答える。匂宮は中の君の愛らしさを思いながらも、六の君への思いも抑えられない。来世までと誓う匂宮に、中の君は、この世の命は短いから来世の約束を頼みにしてしまうと言って、ついに泣く。

語釈・文法注

文法

「ねくたれ」(ねくたれの御かたち)
寝乱れた姿。六の君のもとから戻ったままの姿。
「おもがくし」(おもがくしにや)
照れ隠し。顔を隠すこと。
「こりずまに」(猶こりずまに又もたのまれぬべけれ)
懲りずに。「こりずまに又もなき名は立ちぬべし」(古今集)を踏まえる。

解説

中の君はこれまで平静を装ってきたが、この日ついに涙を流す。匂宮の来世までの誓いが、かえって中の君の心を揺さぶる。

匂宮は中の君の愛らしさに涙ぐみながら、六の君のもとへ早く行きたいとも思う。二人の女性の間で揺れる匂宮の心が、率直に描かれている。

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出典

底本
丸岡桂・松下大三郎編『国文大観』物語部2(源氏物語 下) 板倉屋書房、明治36年(1903)、1018–1021頁(コマ220–221)。国立国会図書館デジタルコレクション
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部
更新日