源氏物語 第47帖 総角(57)
中の君を京へ
匂宮からは「やはりこうして参ることもたいそう難しいのを思い悩んで、近くにお移し申し上げることを工夫しました」と申し上げてきた。后の宮(明石の中宮)がお聞きつけになって、中納言もこうおろそかならず悲しみに沈んでいるそうなのは、本当に並々ならず誰もがお思いになっていた方だったのだろうと気の毒がって、中の君を二条院の西の対に移して、時々も通いなさいとひそかに申し上げたので、匂宮は、女一の宮の御方の女房にするつもりでお考えになったのだろうかと思いながらも、中の君に会えないことがなくなるのはうれしくて、そうおっしゃったのだった。そうなるのだと中納言も聞いて、三条の宮を造り終えて、大君をお移し申し上げようと思っていたのに、その代わりにでも中の君を世話すべきだったのになどと、思い返して心細い。匂宮が疑っていらしたような方面はたいそう似つかわしくないことと思い離れて、大方の後見は自分以外にまた誰がいようと思っているとか。
- 1かのかのかの宮宮みやよりよりよりははは、、、「「「猶猶なおかうかうこう參參まいりりりくるくるくることことこともももいといといと難難かたきききををを思思おもひひいわびわびわびててて、、、近近ちこうううわたいわたいわたい奉奉たてまつるるるべきべきべきことことことをををなむなむなん、、、たばかりたばかりたばかり出出いでででたるたるたる」」」ととと聞聞きこえええ給給たまへへえりりり。。。きさいきさいきさいののの宮宮みや聞聞きこしししめしめしめしつけつけつけててて、、、中中ちゅう納納な言言ごんもももかくかくかくおろかおろかおろかならならならずずず思思おもひひいほれほれほれてててゐゐいたたたなるなるなるははは、、、げにげにげにおしなべておしなべておしなべて思思おもひひいがたうがたうがとうこそこそこそははは誰誰たれもももおぼさおぼさおぼさるるるらめらめらめととと心苦心苦こころぐるしがりしがりしがり給給たまひひいててて、、、二二に條條じょう院院いんののの西西にしののの對對たいにににわたいわたいわたい給給たまひひいててて、、、時々時々ときどきももも通通かよひひい給給たまふふうべくべくべく忍忍しのびびびててて聞聞きこえええ給給たまひひいけれけれければばば、、、女女おんな一一いち宮宮のみやののの御御おん方方かたにににことことことよせよせよせててて、、、おぼしおぼしおぼしなるなるなるにににやややとととおぼしおぼしおぼしながらながらながら、、、覺束覺束おぼつかなかるなかるなかるまじきまじきまじきははは嬉嬉うれしくしくしくてててのたまふのたまふのたまうなりなりなりけりけりけり。。。さささななななりなりなりととと中中ちゅう納納な言言ごんももも聞聞きこえええ給給たもうううててて、、、三三さん條條じょうののの宮宮みやつくりつくりつくりはてはてはてゝゝて、、、渡渡わたいいい奉奉たてまつらららむむんことことことををを思思おもひひいしししものものものををを、、、かのかのかの御御おんかはりかはりかわりににになずらへなずらへなずらえてててももも、、、見見みるるるべかりべかりべかりけるけるけるをををなどなどなど、、、ひきひきひきかへしかへしかえし心心こころぼそしぼそしぼそし。。。宮宮みやのののおぼしおぼしおぼしよるよるよるめりめりめりしししすぢすぢすじはははいといといと似似にげげげなきなきなきことことことににに思思おもひひいはなれはなれはなれててて、、、大大おおかたかたかたののの御御おんうしろみうしろみうしろみははは我我わならならならでででははは又又また誰誰たれかかかはははとととおぼすおぼすおぼすとととややや。。。
現代語訳
あの匂宮からは、「やはりこうして参り来ることも、たいそう難しいのを思い悩んで、近くにお移し申し上げることを、工夫いたしました」と申し上げなさった。后の宮がお聞きつけになって、中納言もこのようにおろそかならず悲しみに沈んでいるそうなのは、本当に並々ならず誰もがお思いになっていた方だったのだろうと気の毒がりなさって、中の君を二条院の西の対にお移しになって、時々もお通いなさるようにと、ひそかに申し上げなさったので、匂宮は、女一の宮の御方の女房にとかこつけて、そうお考えになったのだろうかとお思いになりながらも、心もとないことがなくなるのはうれしくて、そうおっしゃったのであった。そうなるのだと中納言もお聞きになって、三条の宮を造り終えて、大君をお移し申し上げようと思っていたのに、その方の代わりになぞらえてでも、中の君をお世話すべきだったのになどと、思い返して心細い。匂宮が疑っていらっしゃったような方面は、たいそう似つかわしくないことと思い離れて、大方のご後見は、自分以外にまた誰がいようかとお思いになるとか。
意訳
匂宮は中の君を京に迎えることを決める。中宮も、薫の悲しみを見て大君がどれほどの人だったかを察し、中の君を二条院に迎えて通うよう匂宮に勧める。薫は、大君を迎えるはずだった三条の宮を思って心細くなるが、中の君との恋は似つかわしくないと思い、後見役に徹しようと考える。
語釈・文法注
文法
- 「わたい奉る」(近うわたい奉るべきことをなむ)
- 渡し奉る。お移し申し上げる。
- 「女一宮の御方にことよせて」(女一宮の御方にことよせて)
- 女一の宮に仕える女房という名目で。中宮の配慮を匂宮がそう推測する。
- 「おぼすとや」(我ならでは又誰かはとおぼすとや)
- お思いになるとか。語り手が伝聞の形で結ぶ。
解説
総角の帖は、中の君が京に迎えられることが決まって終わる。大君の死によって、宇治の物語は新たな段階に入る。次の早蕨の帖で、中の君は宇治を離れることになる。
薫は、大君を迎えるはずだった三条の宮を思い、中の君を代わりに迎えるべきだったかと迷う。しかし薫は後見役に徹すると決める。この決意が、のちに中の君への思慕となって揺らいでいく。
関連
出典
- 底本
- 丸岡桂・松下大三郎編『国文大観』物語部2(源氏物語 下) 板倉屋書房、明治36年(1903)、990–991頁(コマ206)。国立国会図書館デジタルコレクション
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部
- 更新日