古典ライブラリー

源氏物語 第46帖 椎本(24)

薫の年末の訪問

登場人物:薫・大君

中納言の君(薫)は、新年になったらすぐには見舞えないだろうと思って、年の暮れにやって来た。雪もいっそう深く、並の身分の人さえ姿を見せなくなっていたのに、並々でない身分の様子で身軽にやって来た心ばえが、浅からず思い知られるので、姫君たちはいつもより心を入れて座所などを整えさせる。墨染めでない(喪中用でない)火桶を、物の奥にあったのを取り出して、塵を払いなどするにつけても、宮が薫を待ち喜んでいらした様子などを、女房たちも口にする。大君は対面することを気が引けるとばかり思っているが、思いやりがないように薫が思っているので、仕方がないと思って応対する。うちとけるというほどではないが、以前よりは少し言葉を続けて話す様子が、たいそう感じよくこちらが恥ずかしくなるほどである。薫は、このようにしてばかりでは過ごしきれないだろうと思うようになるのも、たいそう急な心変わりよ、やはり移り変わってしまう世の中なのだったと思っている。

  1. 1中ちゆう中ちゆうちゅう納な納なな言ごん言ごんごんののの君きみ君きみきみははは、、、新あたら新あたらあたらしきしきしき年とし年としとしはははふとふとふとしもしもしもえええとぶらひとぶらひとぶらい聞きこ聞きこきこえええざらざらざらむむんととと覺おぼ覺おぼおぼしししててておはしおはしおわしたりたりたり。。。雪ゆき雪ゆきゆきもももいとゞいとゞいとど所ところ所ところところせきせきせきににによろしきよろしきよろしき人ひと人ひとひとだにだにだに見み見みみえええずずずなりなりなりにににたるたるたるををを、、、なのめなのめなのめならならならぬぬぬけはひけはひけはいしししてててかろらかかろらかかろらかににに物もの物ものものししし給たま給たまたまへへえるるる心こころ心こころこころばへばへばえののの、、、淺あさ淺あさあそうううはははあらあらあらずずず思おも思おもおもひひい知し知ししららられれれ給たま給たまたまへへえれれればばば、、、例れい例れいれいよりよりよりはははみみみいれいれいれててておおおましましましなどなどなどひきひきひきつくろはつくろはつくろわせせせ給たま給たまたまふふう。。。墨すみ墨すみすみ染ぞめ染ぞめぞめならならならぬぬぬ御おん御おんおん火ひ火ひひ桶をけ桶をけおけ、、、物もの物ものものののの奥おく奥おくおくなるなるなる取と取ととりりり出い出いいでででゝゝて、、、塵ちり塵ちりちりかきかきかき拂はら拂はらはらひひいなどなどなどするするするにににつけつけつけてててももも、、、宮みや宮みやみやののの待ま待ままちちち喜よろこ喜よろこよろこびびび給たま給たまたまひひいししし御おん御おんおん氣色けしき氣色けしきけしきなどなどなどををを人々ひとびと人々ひとびとひとびとももも聞きこ聞きこきこえええ出い出いいづづず。。。たいめたいめたいめししし給たま給たまたまふふうことことことをををばばばつゝましくつゝましくつつましくのみのみのみおぼいおぼいおぼいたれたれたれどどど、、、思おも思おもおもひひいくまくまくまなきなきなきやうやうようににに人ひと人ひとひとののの思おも思おもおもひひい給たま給たまたまへへえれれればばば、、、いかゞいかゞいかがはははせせせむむんとてとてとて聞きこ聞きこきこえええ給たま給たまたまふふう。。。うちうちうちとくとくとくとととはははなけれなけれなけれどどど、、、さきざきさきざきさきざきよりよりよりははは少すこ少すこすこししし言こと言ことことののの葉は葉はは續つゞ續つゞつづけけけててて、、、物もの物ものものなどなどなどのたまへのたまへのたまえるるるさまさまさまいといといとめやすくめやすくめやすく心こゝろ心こゝろこころ恥はづか恥はづかはずかしげしげしげなりなりなり。。。かやうかやうかようにてにてにてのみのみのみはははえええすぐしすぐしすぐしはつはつはつまじまじまじととと思おも思おもおもひひいなりなりなり給たま給たまたまふふうももも、、、いといといとうちつけうちつけうちつけなるなるなる心こころ心こころこころかなかなかな。。。猶なほ猶なほなお移うつ移うつうつりりりぬぬぬべきべきべき世よ世よよなりなりなりけりけりけりととと思おも思おもおもひひい居ゐ居ゐい給たま給たまたまへへえりりり。。。

引用の仕方

レポート・論文で引用する場合の表記例です。行番号を選んでから開くと、その行へのリンクになります。

現代語訳

中納言の君は、新しい年はすぐにはお見舞い申し上げられないだろうとお思いになって、年の暮れにいらっしゃった。雪もいっそう深く、並の身分の人さえ姿を見せなくなっていたのに、並々でない身分の様子で、身軽にいらっしゃったお心ばえが、浅からず思い知られなさるので、姫君たちはいつもより心を入れて、お座所などを整えさせなさる。墨染めでない御火桶を、物の奥にあったのを取り出して、塵を払いなどするにつけても、宮が待ち喜んでいらっしゃったご様子などを、女房たちも口にする。大君は対面なさることを気が引けるとばかりお思いになっていたが、思いやりがないように、あの方がお思いになっているので、仕方がないと思ってお相手申し上げなさる。うちとけるというほどではないけれど、以前よりは少し言葉を続けて、お話などなさる様子が、たいそう感じよく、こちらが恥ずかしくなるほどである。薫は、このようにしてばかりでは過ごしきれないだろうとお思いになるようになるのも、たいそう急な心よ、やはり移り変わってしまう世の中だったのだなと思っていらっしゃった。

意訳

年の暮れ、薫は雪を押して宇治を訪れる。姉妹はその誠意に感謝し、座所を整えてもてなす。大君は気が引けながらも、以前より言葉を続けて薫と話す。薫は、このまま後見人としてだけ過ごすことはできないと思うようになる。

語釈・文法注

文法

「墨染ならぬ御火桶」(墨染ならぬ御火桶)
喪中用の黒塗りでない火桶。客人用に普通の火桶を出した。
「たいめ」(たいめし給ふことをば)
対面。
「うちつけなる心」(いとうちつけなる心かな)
急な、だしぬけの心。道心を自任していた薫が恋心を抱くことへの語り手の評。

解説

薫は雪を押して宇治を訪れる。その誠意は姉妹の心を少しずつ動かしていく。大君も、以前より言葉を続けて話すようになる。

薫は「このようにしてばかりでは過ごしきれない」と思う。後見人としての立場を越えて、大君への恋心を自覚し始めたのである。語り手は、道心の人の心変わりを「うちつけなる心」と評している。

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出典

底本
丸岡桂・松下大三郎編『国文大観』物語部2(源氏物語 下) 板倉屋書房、明治36年(1903)、924–927頁(コマ173–174)。国立国会図書館デジタルコレクション
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部
更新日