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源氏物語 第46帖 椎本(11)

八の宮の遺戒

登場人物:八の宮・大君・中の君

秋が深まるにつれて、宮はひどく心細く思われたので、例の静かな所(阿闍梨の山寺)で念仏を紛れなくしようと思って、姫君たちにも然るべきことを言い聞かせる。「世の常として、最後の別れは逃れられないものだが、思い慰める方面があってこそ悲しさも晴らせるものだろう。後を託す人もなく心細そうなあなたたちを捨てていくのはつらいことだ。しかし、それくらいのことに妨げられて長い後世の闇にまで迷うのはつまらない。一緒にいる間でさえ思い捨てている世なので、死んだ後のことは知るべきことではないが、私一人の身ではなく、亡き母上の面目を損なうような軽々しい心を持ってはならない。よほどの縁でなければ、人の言葉になびいてこの山里を離れてはならない。ただこのように人とは違った宿縁の特別な身と思いなして、ここで一生を終えようと覚悟しなさい。ひたすら思い定めれば、何ということもなく過ぎてしまった年月だった。まして女はそうした方面にこらえて籠もって、ひどく気の毒なような世間の非難を負わないのがよいだろう」などとおっしゃる。姫君たちは、自分たちの身がどうなるかまでは思いも及ばず、ただどうして父上に後れて片時も生き長らえられようと思っているところに、このように心細い先々の話を聞いて、言いようもなく心が乱れる。宮は心の中では思い捨てていらっしゃったのだろうが、明け暮れおそばに慣れ親しんでいらして、急にお別れになるのは、つれない心からではないけれど、本当に恨めしく思われるご様子であった。

  1. 1秋あき秋あきあき深ふか深ふかふかくくくなりなりなり行ゆ行ゆゆくくくまゝまゝままににに、、、宮みや宮みやみやはははいみじういみじういみじゅう物もの物ものもの心こころ心こころこころぼそくぼそくぼそくおぼえおぼえおぼえ給たま給たまたまひひいけれけれければばば、、、例れい例れいれいののの靜しづか靜しづかしずかなるなるなる所ところ所ところところにてにてにて念ねむ念ねむねん佛ぶつ佛ぶつぶつをををもももまぎれまぎれまぎれなくなくなくせせせむむんとととおぼしおぼしおぼしててて、、、君きん君きんきん達だち達だちだちにににもももさるべきさるべきさるべき事こと事ことこと聞きこ聞きこきこえええ給たま給たまたまふふう。。。「「「世よ世よよののの事こと事ことこととしとしとしてててつひつひついののの別わかれ別わかれわかれををを遁のが遁のがのがれれれぬぬぬわざわざわざなななめれめれめれどどど、、、思おも思おもおもひひい慰なぐさ慰なぐさなぐさむむむ方かた方かたかたありありありてててこそこそこそ悲かな悲かなかなしさしさしさをををもももさますさますさますものものものなななめれめれめれ。。。又また又またまた見み見みみゆづるゆづるゆずる人ひと人ひとひともももなくなくなく心こころ心こころこころぼそげぼそげぼそげなるなるなる御おん御おんおん有あり有ありあり樣さま樣さまさまどもどもどもをををうちうちうちすてすてすてゝゝてむむんがががいみじきいみじきいみじきことことこと。。。されどされどされどもももさばかりさばかりさばかりののの事こと事ことことににに妨さまた妨さまたさまたげげげられられられててて長なが長ながながききき世よ世よよののの闇やみ闇やみやみにににさへさへさへ惑まど惑まどまどははわむむんがががやくなさやくなさやくなさ。。。かつかつかつ見み見みみ奉たてまつ奉たてまつたてまつるるるほどほどほどだにだにだに思おも思おもおもひひいすつるすつるすつる世よ世よよををを、、、さりさりさりなななむむんうしろうしろうしろののの事こと事ことこと知し知ししるるるべきべきべきことことことにににはははあらあらあらねねねどどど、、、我わ我わわががが身み身みみひとつひとつひとつにににあらあらあらずずず、、、過す過すすぎぎぎ給たま給たまたまひひいにににししし御おん御おんおんおもおもおもてててぶせぶせぶせにににかるがるしきかるがるしきかるがるしき心こころ心こころこころどもどもどもつかひつかひつかい給たま給たまたまふふうななな。。。おぼろげおぼろげおぼろげのののよすがよすがよすがならならならででで人ひと人ひとひとのののことことことにににうちうちうちなびきなびきなびきこのこのこの山やま山やまやま里ざと里ざとざとをををあくがれあくがれあくがれ給たま給たまたまふふうななな。。。たゞたゞただかうかうこう人ひと人ひとひとににに違たが違たがたがひひいたるたるたるちぎりちぎりちぎりことことことなるなるなる身み身みみとととおぼしおぼしおぼしなしなしなしててて、、、こゝこゝここににに世よ世よよをををつくしつくしつくしてててむむんととと思おも思おもおもひひいとりとりとり給たま給たまたまへへえ。。。ひたぶるひたぶるひたぶるににに思おも思おもおもひひいしししなせなせなせばばばことことことにににもももあらあらあらずずず過す過すすぎぎぎぬるぬるぬる年とし年としとし月つき月つきつきなりなりなりけりけりけり。。。ましてましてまして女をんな女をんなおんなはははさるさるさる方かた方かたかたににに堪た堪たたへへえ籠こも籠こもこもりりりててて、、、いちじるくいちじるくいちじるくいとほしげいとほしげいとおしげなるなるなるよそよそよそのののもどきもどきもどきををを、、、おはおはおわざらざらざらむむんなむなむなんよかるよかるよかるべきべきべき」」」などなどなどのたまふのたまふのたまう。。。
  2. 2ともかくもともかくもともかくも身み身みみのののならならならむむんやうやうようまでまでまではははおぼしおぼしおぼしももも流なが流ながながささされれれずずず、、、唯たゞ唯たゞただいかにいかにいかにしししてててかかか後おく後おくおくれれれ奉たてまつ奉たてまつたてまつりりりてててははは世よ世よよににに片かた片かたかた時とき時ときときもももながらふながらふながらうべきべきべきとととおぼすおぼすおぼすににに、、、かくかくかく心こころ心こころこころぼそきぼそきぼそきさまさまさまののの御おん御おんおんあらましあらましあらましごとごとごとににに、、、いふいふいうかたかたかたなきなきなき御心みこころ御心みこころみこころまどひまどひまどいどもどもどもににになむなむなん。。。心こころ心こころこころのののうちうちうちにににこそこそこそ思おも思おもおもひひい捨す捨すすててて給たま給たまたまひひいつつつらめらめらめどどど、、、明あけ明あけあけ暮くれ暮くれくれ御おん御おんおん傍かたはら傍かたはらかたわらにににならはいならはいならわい給たま給たまたまひひいててて、、、俄にはか俄にはかにわかににに別わか別わかわかれれれ給たま給たまたまははわむむんはははつらきつらきつらき心こころ心こころこころならならならねねねどどど、、、げにげにげにうらめしかるうらめしかるうらめしかるべきべきべき御おん御おんおん有あり有ありあり樣さま樣さまさまににになむなむなんありありありけるけるける。。。

引用の仕方

レポート・論文で引用する場合の表記例です。行番号を選んでから開くと、その行へのリンクになります。

現代語訳

秋が深まっていくにつれて、宮はひどく何となく心細くお思われになったので、例の静かな所で念仏をも紛れなくしようとお思いになって、姫君たちにも然るべきことを申し上げなさる。「世の常として、最後の別れは逃れられないことのようだが、思い慰める方面があってこそ、悲しさも晴らすもののようだ。また後を託す人もなく、心細そうなあなたたちのご様子を捨てていくのは、つらいことだ。しかし、それくらいのことに妨げられて、長い後世の闇にまで迷うのはつまらないことだ。一緒にいてお世話している間でさえ思い捨てている世なので、去った後のことは知るべきことではないけれど、私一人の身のことではない、亡くなった母上の面目を損なうような、軽々しい心をお持ちになってはならない。よほどの縁でなければ、人の言葉にうちなびいて、この山里を離れてはならない。ただこのように人とは違った、宿縁の特別な身とお思いなしになって、ここで一生を終えようと覚悟なさい。ひたすらに思い定めれば、何ということもなく過ぎてしまった年月であったよ。まして女は、そうした方面にこらえて籠もって、ひどく気の毒なような世間の非難を負わないのがよいだろう」などとおっしゃる。

姫君たちは、ともかくも自分の身がどうなるかまではお思い及びにもならず、ただどうして父上に後れ申し上げては、世に片時も生き長らえられようかとお思いになっているところに、このように心細い様子の先々のお話に、言いようもなくお心が乱れる。宮は心の中では思い捨てていらっしゃったのだろうが、明け暮れおそばに慣れ親しんでいらっしゃって、急にお別れになるのは、つれない心からではないけれど、本当に恨めしく思われるはずのご様子であった。

意訳

秋が深まり、八の宮は山寺に籠もる前に娘たちに遺戒を述べる。軽々しい心を持たず、よほどの縁でなければ山里を離れず、ここで一生を終える覚悟をせよと言う。姉妹は父に後れては生きられないと思い、心が乱れる。

語釈・文法注

文法

「長き世の闇」(長き世の闇にさへ惑はむがやくなさ)
長い後世の闇。子への愛着のために成仏できないこと。
「おもてぶせ」(過ぎ給ひにし御おもてぶせに)
面目を失うこと。亡き母の名を汚すこと。
「あくがれ」(この山里をあくがれ給ふな)
さまよい出る、離れる。
「おはざらむ」(よそのもどきを、おはざらむなむよかるべき)
負わないようにする。世間の非難を受けないこと。

解説

八の宮の遺戒は、宇治十帖の後半に大きな影響を与える。「よほどの縁でなければ山里を離れるな」という父の言葉は、大君を生涯縛り、薫との結婚を拒む理由となる。父の愛情から出た言葉が、娘の幸せを妨げることになる皮肉である。

宮は世を捨てたと言いながら、娘たちへの思いを捨てきれない。遺戒は娘たちの将来を案じる親心の表れだが、同時に娘たちに寂しい生き方を強いるものでもあった。

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出典

底本
丸岡桂・松下大三郎編『国文大観』物語部2(源氏物語 下) 板倉屋書房、明治36年(1903)、914–915頁(コマ168)。国立国会図書館デジタルコレクション
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部
更新日