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源氏物語 第46帖 椎本(9)

声にめづる心

登場人物:薫・八の宮・大君・中の君

薫は「すべて本当にそのように思い捨てているせいでしょうか、自分自身のことでは、どうにも深く思い知ることがございませんが、本当につまらないことですが、音楽を愛でる心だけは背きがたいものでございました。賢く聖ぶった迦葉も、それで立って舞ったのでしょう」などと申し上げて、物足りなく一声だけ聞いた姫君の琴の音を、しきりに聞きたがるので、宮は親しくなる始めにとでも思ったのか、自らあちらに入ってしきりに勧める。姫君は箏の琴をたいそうほのかにかき鳴らしてやめてしまった。いっそう人の気配も絶えてしみじみとした空の様子、所の様子に、さりげない合奏が心にしみて趣深く思われるが、姫君たちはうちとけてどうして合わせようか。宮は「自然とこれほど馴らし始めた残りは、若い者同士にお任せしよう」と言って、仏の御前に入った。私がいなくなって草の庵は荒れても、このお約束の一言は枯れまいと思います。このような対面も今度が最後かと何となく心細いので我慢しきれず、愚かしい繰り言が多くなってしまったと言って泣く。客人の薫は、どんな世になっても離れたりしましょうか、長い世の契りを結んだこの草の庵は、と詠んで、「相撲の節会など公事に紛れる頃を過ぎてから参りましょう」などと申し上げる。

  1. 1「「「すべてすべてすべて誠まこと誠まことまことにににしかしかしか思おも思おもおもひひい給たま給たまたまへへえすてすてすてたるたるたるけけけにににややや侍はべ侍はべはべらららむむん。。。みづからみづからみずからのののことことことにてにてにてははは、、、いかにいかにいかにもももいかにいかにいかにももも深ふか深ふかふこううう思おも思おもおもひひい知し知ししるるる方かた方かたかたののの侍はべ侍はべはべらららぬぬぬををを、、、げにげにげにはかなさはかなさはかなさことことことなれなれなれどどど、、、聲こゑ聲こゑこえにににめづるめづるめずる心こころ心こころこころこそこそこそ背そむ背そむそむきききがたきがたきがたきことことことににに侍はべ侍はべはべりりりけれけれけれさかしうさかしうさかしゅうひじりひじりひじりだつだつだつ迦か迦かかせうせうしょうもももさればさればさればややや立た立たたちちちててて舞ま舞ままひひい侍はべ侍はべはべりりりけむけむけん」」」などなどなど聞きこ聞きこきこえええててて、、、飽あ飽ああかかかずずず一ひと一ひとひと聲こゑ聲こゑこえ聞き聞きききききししし御おん御おんおん琴こと琴ことことののの音ね音ねねををを、、、せちせちせちにににゆかしがりゆかしがりゆかしがり給たま給たまたまへへえばばば、、、うとうとしからうとうとしからうとうとしからぬぬぬはじめはじめはじめにににもももとととやややおぼすおぼすおぼすらむらむらん、、、御おん御おんおんみづからみづからみずからあなたあなたあなたににに入い入いいりりり給たま給たまたまひひいてててせちせちせちにににそゝのかしそゝのかしそそのかし聞きこ聞きこきこえええ給たま給たまたまふふう。。。箏さう箏さうそうののの琴こと琴ことことをををぞぞぞいといといとほのかほのかほのかににに、、、掻か掻かかきききならしならしならしててて止や止ややみみみ給たま給たまたまひひいぬるぬるぬるいとゞいとゞいとど人ひと人ひとひとのののけはひけはひけはいももも絕た絕たたえええててて哀あはれ哀あはれあわれなるなるなる空そら空そらそらのののけしきけしきけしき、、、所ところ所ところところのののさまさまさまにににわざとわざとわざとなきなきなき御おん御おんおんあそびあそびあそびののの心こころ心こころこころににに入い入いいりりりててて、、、をかしうをかしうおかしゅうおぼゆれおぼゆれおぼゆれどどど、、、うちうちうちとけとけとけてててもももいかでいかでいかでかかかはははひきひきひきあはせあはせあわせ給たま給たまたまははわむむん。。。
  2. 2「「「おのづからおのづからおのずからかばかりかばかりかばかりならしならしならしそめそめそめつるつるつるのこりのこりのこりははは、、、よよよごもれごもれごもれるるるどちどちどちにににゆづりゆづりゆずり聞きこ聞きこきこえええてててむむん」」」とてとてとて、、、宮みや宮みやみやははは佛ほとけ佛ほとけほとけののの御お御おお前まへ前まへまえににに入い入いいりりり給たま給たまたまひひいぬぬぬ。。。「「「我わ我わわなくなくなくててて草くさ草くさくさのののいほりいほりいおりははは荒あ荒ああれれれぬぬぬともともともこのこのこのひとひとひとことことことははは枯か枯かかれれれじじじとととぞぞぞ思おも思おもおもふふう。。。かゝるかゝるかかる對たい對たいたい面めん面めんめんももも、、、このこのこの度たび度たびたびややや限かぎり限かぎりかぎりならならならむむんととと物もの物ものもの心こころ心こころこころぼそきぼそきぼそきににに忍しの忍しのしのびびびかねかねかねててて、、、かたくなしきかたくなしきかたくなしきひがひがひがごとごとごと多おほ多おほおおくくくもももなりなりなりぬるぬるぬるかなかなかな」」」とてとてとてうちうちうちなきなきなき給たま給たまたまふふう。。。まらうどまらうどまろうど、、、「「「いかならいかならいかならむむん世よ世よよにににかかかかれかれかれせせせむむん長なが長ながながきききよよよのののちぎりちぎりちぎり結むす結むすむすべべべるるる草くさ草くさくさのののいほりいほりいおりははは。。。すまひすまひすまいなどなどなどおほやけおほやけおおやけごとごとごとどもどもどもまぎれまぎれまぎれ侍はべ侍はべはべるるる頃ころ頃ころころ過す過すすぎぎぎてててさぶらはさぶらはさぶらわむむん」」」などなどなど聞きこ聞きこきこえええ給たま給たまたまふふう。。。

引用の仕方

レポート・論文で引用する場合の表記例です。行番号を選んでから開くと、その行へのリンクになります。

現代語訳

薫は「すべて本当に、そのように思い捨てておりますせいでございましょうか、自分自身のことでは、どうにもこうにも深く思い知ることがございませんのに、本当につまらないことではございますが、音楽を愛でる心だけは背きがたいことでございました。賢く聖ぶった迦葉も、それだから立って舞ったのでございましょう」などと申し上げて、物足りなく一声だけ聞いた御琴の音を、しきりに聞きたがりなさるので、宮は親しくなる始めにとでもお思いになったのだろうか、ご自身であちらにお入りになって、しきりにお勧め申し上げなさる。姫君は箏の琴をたいそうほのかにかき鳴らして、おやめになってしまった。いっそう人の気配も絶えて、しみじみとした空の様子、所の様子に、さりげない合奏が心にしみて、趣深く思われるけれど、姫君たちはうちとけて、どうして合わせなさろうか。

宮は「自然とこれほど馴らし始めた残りは、若い者同士にお任せ申し上げよう」と言って、仏の御前にお入りになった。「私がいなくなって、草の庵は荒れてしまっても、このお約束の一言は枯れまいと思います。このような対面も、今度が最後だろうかと何となく心細いので我慢しきれず、愚かしい繰り言が多くなってしまったことよ」と言ってお泣きになる。客人は、「どのような世になっても、離れたりしましょうか。長い世の契りを結んだ、この草の庵は。相撲の節会など公事に紛れます頃を過ぎてから参りましょう」などと申し上げなさる。

意訳

薫は音楽への執着だけは捨てられないと言い、姫君の琴を聞きたいと願う。八の宮に勧められて姫君は箏をほのかに弾く。宮は若い者同士に任せようと仏前に入り、約束は枯れないと歌を詠んで泣く。薫は長い契りを誓う歌を返す。

語釈・文法注

文法

「迦せう」(さかしうひじりだつ迦せうも)
迦葉。釈迦の弟子。音楽を聞いて思わず立って舞ったという故事がある。
「よごもれるどち」(よごもれるどちにゆづり聞えてむ)
世籠もれる同士。まだ世慣れていない若い者同士。
「このひとこと」(このひとことは枯れじとぞ思ふ)
薫が後見を約束した一言。「言」に「事」をかけ、草の縁語で「枯れじ」という。
「すまひ」(すまひなどおほやけごとども)
相撲の節会。七月に行われた宮中行事。

解説

八の宮は「若い者同士に任せよう」と言って席を外す。宮は薫に娘を託す意思を、はっきりと示している。しかし大君はうちとけず、薫も強く求めない。

「このひとことは枯れじ」という宮の歌は、薫との約束を最後の頼みとする思いを詠んでいる。これが宮と薫の最後の対面となり、この約束が薫を縛り続けることになる。

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出典

底本
丸岡桂・松下大三郎編『国文大観』物語部2(源氏物語 下) 板倉屋書房、明治36年(1903)、912–915頁(コマ167–168)。国立国会図書館デジタルコレクション
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部
更新日