源氏物語 第39帖 夕霧(46)
雲居の雁の里帰り
このように夕霧が無理にも住み慣れた顔を作っているうちに、三条殿(雲居の雁)は、これでもう終わりのようだ、まさかそこまではと一方では頼りにしていたのに、まじめな人の心変わりは名残もないと聞いたのは本当だったと、夫婦の仲をすっかり見極めた気持ちがして、何とかしてこの無礼を見るまいと思ったので、父の大臣の邸へ方違えをするということで移ったが、姉の弘徽殿女御が里下がりしている頃でもあり、対面して少し物思いが晴れる所に思われて、いつものようには急いで帰らない。夕霧も聞いて、やはりそうか、たいそう性急な性分だ、あの父大臣もまた、大人らしく落ち着いた所がさすがになく、たいそうせっかちに華やかな人々なので、心外だ、見たくも聞きたくもないなどと、ひねくれたことをしでかしかねないと驚いて、三条殿に行くと、子どもたちも一部は残っていたので、雲居の雁は姫君たちと、それからたいそう幼い子とを連れて行ったのだった。子どもたちは父を見つけて喜んでまとわりつき、あるいは母上を恋しがって悲しんで泣くのを、夕霧は心苦しく思う。

- 1かくかくかくせめてせめてせめて住住すみみみなれなれなれがほがほがおつくりつくりつくり給給たまふふう程程ほど、、、三三さむ條條じょう殿殿どのかぎりかぎりかぎりなななめりめりめりととと、、、さしもさしもさしもやややはははとととこそこそこそ、、、かつはかつはかつは賴賴たのみみみつれつれつれ、、、まめまめまめびとびとびとののの心心こころかはるかはるかわるははは名名な殘殘ごりなくなくなくなむなむなんととと聞聞ききききしししははは誠誠まことなりなりなりけりけりけりととと世世よをををこゝろみこゝろみこころみはつるはつるはつる心地心地ここちしししててて、、、いかさまいかさまいかさまにににしししてててこのこのこのなめげさなめげさなめげさををを見見みじじじとととおぼしおぼしおぼしけれけれければばば、、、大大おお殿殿とのへへへ方方かたたがへたがへたがえむむんとてとてとて渡渡わたりりり給給たまひひいにににけるけるけるををを、、、女女にょうご御御ごののの御御おん里里さとにににおはするおはするおわする程程ほどなどなどなどにににたいめたいめたいめししし給給たまひひいててて、、、少少すこししし物思物思ものおもひひいはるけはるけはるけ所所ところににに覺覺おぼささされれれててて例例れいのののやうやうようにににももも急急いそぎぎぎ渡渡わたりりり給給たまははわずずず。。。大大だい將將しょう殿殿どのももも聞聞きききき給給たまひひいててて、、、さればさればさればよよよいといといと急急きゅうににに物物ものししし給給たまふふう本本ほん性性じょうなりなりなり、、、このこのこのおとゞおとゞおとどもももはたはたはたおとなおとなおとなおとなしうおとなしうおとなしゅうのどめのどめのどめたるたるたる所所ところさすがさすがさすがににになくなくなく、、、いといといとひきゝりひきゝりひききりににに花花はなやいやいやい給給たまへへえるるる人々人々ひとびとにてにてにてめざましめざましめざまし見見みじじじ聞聞きかかかじじじなどなどなどひがひがしきひがひがしきひがひがしき事事ことどもどもどもしししいでいでいで給給たまひひいつつつべきべきべきととと驚驚おどろかかかれれれ給給たまひひいててて三三さむ條條じょう殿殿どのににに渡渡わたりりり給給たまへへえれれればばば、、、君君きん達達だちもももかたへかたへかたえはははとまりとまりとまり給給たまへへえれれればばば、、、姫姫ひめ君君ぎみたちたちたちさてはさてはさてはいといといとをさなきをさなきおさなきとととをををぞぞぞゐゐいててておはしおはしおわしにににけるけるける。。。見見みつけつけつけててて悅悅よろこびびびむつれむつれむつれあるあるあるはははうへうへうえををを戀戀こひひい奉奉たてまつりりりててて憂憂うれへへえ泣泣なききき給給たまふふうををを心苦心苦こころぐるしししとととおぼすおぼすおぼす。。。
現代語訳
このように夕霧が無理にも住み慣れた顔をお作りになっているうちに、三条殿(雲居の雁)は、これでもう終わりのようだ、まさかそこまではと、一方では頼りにしていたのに、まじめな人の心変わりは名残もないものだと聞いたのは本当だったと、夫婦の仲をすっかり見極めた気持ちがして、何とかしてこの無礼を見るまいとお思いになったので、父の大殿(致仕の大臣)の邸へ、方違えをするということでお移りになったが、女御(弘徽殿女御)が里下がりしていらっしゃる頃などでもあって、対面なさって、少し物思いが晴れる所にお思いになって、いつものようには急いでお帰りにならない。大将殿(夕霧)もお聞きになって、やはりそうか、たいそう性急でいらっしゃる性分だ、この父大臣もまた、大人らしく落ち着いた所がさすがになく、たいそうせっかちに華やかでいらっしゃる人々なので、心外だ、見たくも聞きたくもないなどと、ひねくれたことをしでかしなさりかねないと驚きなさって、三条殿にお帰りになると、子どもたちも一部は残っていらっしゃったので、雲居の雁は姫君たちと、それからたいそう幼い子とを連れていらっしゃったのだった。子どもたちは父を見つけて喜んでまとわりつき、あるいは母上を恋い申し上げて悲しんでお泣きになるのを、夕霧は心苦しくお思いになる。
意訳
雲居の雁は夫の心変わりを見限って、子どもを連れて実家に帰る。夕霧は驚いて三条殿に戻り、残された子どもたちを見て心を痛める。
語釈・文法注
文法
- 「方たがへ」(大殿へ方たがへむとて)
- 方違え。陰陽道で凶の方角を避けるため、一時他所へ移ること。ここでは実家に帰る口実。
- 「ひきゝり」(いとひきゝりに花やい給へる人々)
- せっかちで、決断の早いこと。
- 「はるけ所」(少し物思ひはるけ所に覺されて)
- 気持ちを晴らす場所。
解説
雲居の雁は、ついに子どもを連れて実家に帰る。まじめな人の心変わりは名残もないという言葉は、長年の信頼を裏切られた妻の痛切な思いである。父の致仕の大臣の家の人々は、せっかちで激しい気性であり、夕霧はその反応を恐れる。
残された子どもたちが父にまとわりつき、母を恋しがって泣く姿は痛ましい。夕霧の恋は、家庭の崩壊という代償を招いている。
関連
出典
- 底本
- 丸岡桂・松下大三郎編『国文大観』物語部2(源氏物語 下) 板倉屋書房、明治36年(1903)、808–809頁(コマ115)。国立国会図書館デジタルコレクション
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部
- 更新日