源氏物語 第39帖 夕霧(39)
夕霧の美しさ
夕霧が源氏の御前に参ると、源氏はあのことは聞いているが、どうして聞いた顔をすることがあろうと思って、ただじっと見ていると、夕霧はたいそうすばらしく清らかで、この頃こそ成熟して盛りの美しさである。そのような色恋をしても、人が非難するような様子でもなく、鬼神も罪を許してしまいそうに、鮮やかに清らかで、若く盛りの美しさを匂わせている。物思いを知らない若者というほどでもなく、欠けたところなく成熟しているのはもっともなことだ。女ならどうして賞賛しないことがあろう、鏡を見ても、どうして得意にならないことがあろうと、源氏は我が子ながらも思う。

- 1おおお前前まえににに參參まいりりり給給たまへへえれれればばばかのかのかの事事ことははは聞聞きこしめししめししめしたれたれたれどどど何何なにかかかはははきゝきゝききがほがほがおにににもももとととおぼいおぼいおぼいててて唯唯ただうちうちうちまもりまもりまもり給給たまへへえるるるににに、、、いといといとめでたくめでたくめでたくきよらきよらきよらにににこのこのこの比比ごろこそこそこそねびねびねびまさりまさりまさり給給たまへへえるるる御御おん盛盛さかりなななめれめれめれ。。。さるさるさるさまさまさまのののすきすきすきごとごとごとをををししし給給たまふふうともともとも人人ひとのののもどくもどくもどくべきべきべきさまさまさまもももししし給給たまははわずずず、、、鬼鬼おに神神がみももも罪罪つみゆるしゆるしゆるしつつつべくべくべくあざやかあざやかあざやかににに物物もの淸淸きよげげげににに若若わこううう盛盛さかりににににほひにほひにおいをををちらしちらしちらし給給たまへへえりりり。。。物思物思ものおもひひいしらしらしらぬぬぬわかうどわかうどわこうどのののほどほどほどにににはははたたたおはせおはせおわせずずず、、、かたほかたほかたほなるなるなるところところところなうなうのうねびねびねびとゝのほりとゝのほりととのおり給給たまへへえるるることわりことわりことわりぞぞぞかしかしかし。。。女女おんなにてにてにてなどなどなどかかかめでめでめでざらざらざらむむん、、、鏡鏡かがみををを見見みてててもももなどなどなどかかかおごらおごらおごらざらざらざらむむんととと我我わががが御御み子子こながらながらながらももも覺覺おぼすすす。。。
現代語訳
夕霧が源氏の御前に参上なさると、源氏はあのことはお聞きになっているけれど、どうして聞いた顔をすることがあろうかとお思いになって、ただじっと見守っていらっしゃると、夕霧はたいそうすばらしく清らかで、この頃こそ成熟してまさっていらっしゃるお盛りのようだ。そのような色恋をなさっても、人が非難しそうな様子もなさらず、鬼神も罪を許してしまいそうに、鮮やかに何となく清らかで、若く盛りの美しさを匂わせていらっしゃる。物思いを知らない若者というほどでもいらっしゃらず、欠けたところなく成熟していらっしゃるのはもっともなことよ。女なら、どうして賞賛しないことがあろう、鏡を見ても、どうして得意にならないことがあろうかと、源氏はご自分の御子ながらもお思いになる。
意訳
源氏は夕霧の噂を知りながら何も言わず、盛りの美しさの夕霧を見て、女なら誰でも心引かれるだろうと我が子ながら思う。
語釈・文法注
文法
- 「ねびまさる」(この比こそねびまさり給へる御盛なめれ)
- 成熟して美しさがまさる。
- 「鬼神も罪ゆるしつべく」(鬼神も罪ゆるしつべく)
- 鬼神でさえ罪を許してしまいそうなほど美しい。
- 「かたほ」(かたほなるところなう)
- 不完全なこと、欠けたところ。
解説
源氏は、夕霧の噂を知りながら口出しせず、ただその美しさを見つめる。鬼神も罪を許しそうなほどの夕霧の姿に、源氏は我が子ながら見とれる。父として息子を誇らしく思う気持ちが率直に描かれている。
源氏の視線には、若い頃の自分を夕霧に重ねる思いもあるだろう。色恋に生きた源氏にとって、生真面目な夕霧の恋は、どこか微笑ましいものであったのかもしれない。
関連
出典
- 底本
- 丸岡桂・松下大三郎編『国文大観』物語部2(源氏物語 下) 板倉屋書房、明治36年(1903)、802–803頁(コマ112)。国立国会図書館デジタルコレクション
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部
- 更新日