源氏物語 第39帖 夕霧(34)
一条宮の支度
夕霧も、あれこれ言いつくろってきたのも今は無駄だ、宮のお心で許してくださることは難しそうだ、御息所が承知していたのだと人には知らせよう、仕方がない、亡き人に少しばかり浅い咎を負わせて、いつから始まった仲ともなく紛らわしてしまおう、今さら若返って懸想めき、涙を尽くして関わり続けるのも、たいそううぶなことだろうと思って、宮が一条宮に移る日を、その日と決めて大和守を呼んで、然るべき作法を命じ、宮邸の中を掃除させて設えさせる。女ばかりの住まいで草が茂るように荒れていたのを、磨いたように整えて、心遣いなどの作法も立派に、壁代、屏風、几帳、御座などにまで気を配って、大和守に命じて、その家で急いで用意させる。

- 1大大だい將將しょうももも、、、とかくとかくとかくいひいひいいなしなしなしつるつるつるももも今今いまはははあいなしあいなしあいなし、、、かのかのかの御心御心みこころにににゆるしゆるしゆるし給給たまははわむむんことことことはははかたげかたげかたげなななめりめりめり、、、御御み息息やす所所どころののの心心こころしりしりしりなりなりなりけりけりけりととと人人ひとにににはははしらせしらせしらせむむん、、、いかゞいかゞいかがはははせせせむむん、、、なきなきなき人人ひとににに少少すこしししあさきあさきあさき咎咎とがはははおほせおほせおおせててていついついつありありありそめそめそめしししことことことぞぞぞととともももなくなくなく紛紛まぎらはしはしわしてててむむん、、、さらさらさらがへりがへりがえりてててけさうけさうけそうだちだちだち淚淚なみだををを盡盡つくしししかゝづらはかゝづらはかかずらわむむんもももいといといとうひうひしかるうひうひしかるういういしかるべしべしべしととと思思おもひひい給給たまひひいててて、、、一一いち條條じょうにににわたりわたりわたり給給たまふふうべきべきべき日日ひそのそのその日日ひばかりばかりばかりととと定定さだめめめててて大大やま和和と守守のかみめしめしめしてててあるあるあるべきべきべきさはふさはふさほうのたまひのたまひのたまい、、、宮宮みやのののうちうちうちはらひはらひはらいしつらひしつらひしつらい、、、さささこそこそこそいへいへいえどもどもども女女おんなどちどちどちははは草草くさしげうしげうしぎょう住住すみみみなしなしなし給給たまへへえりりりしししををを、、、磨磨みがきききたるたるたるやうやうようにににしつらひしつらひしつらいなしなしなしててて御御おん心心こころづかひづかひずかいなどなどなどあるあるあるべきべきべきさはふさはふさほうめでたうめでたうめでとう壁壁かべ代代しろ御御おん屏屏びょう風風ぶ几几き帳帳ちょうおましおましおましなどなどなどまでまでまでおぼしおぼしおぼしよりよりよりつゝつゝつつ大大やま和和と守守のかみにににのたまひのたまひのたまいてててかのかのかの家家いえにににぞぞぞ急急いそぎぎぎつかうまつらつかうまつらつこうまつらせせせ給給たまふふう。。。
現代語訳
大将(夕霧)も、あれこれと言いつくろってきたのも、今は無駄だ、あの宮のお心で許してくださることは難しそうだ、御息所が承知していたことだったのだと、人には知らせよう、仕方がない、亡き人に少しばかり浅い咎を負わせて、いつから始まった仲ということもなく紛らわしてしまおう、今さら若返って懸想めき、涙を尽くして関わり続けるのも、たいそううぶなことだろうとお思いになって、宮が一条宮にお移りになるはずの日を、その日だけと決めて、大和守を呼んで、然るべき作法をおっしゃり、宮邸の中を掃除し、設えさせ、そうはいっても女ばかりの住まいで、草が茂るように住みなしていらっしゃったのを、磨いたように設えて、お心遣いなどの然るべき作法も立派に、壁代、御屏風、几帳、御座などにまで気を配りながら、大和守におっしゃって、その家で急いで用意させなさる。
意訳
夕霧は、宮の許しを得るのは難しいと見て、御息所が承知していたことにして、宮を一条宮に移す日を決め、邸を美しく整えさせる。
語釈・文法注
文法
- 「心しり」(御息所の心しりなりけりと人にはしらせむ)
- 事情を承知していること、了解していること。
- 「さらがへる」(さらがへりてけさうだち)
- 若返る、昔に戻る。
- 「壁代」(壁代御屏風几帳おましなどまで)
- 寝殿造で、壁の代わりに垂らした布の帳。
解説
夕霧は、宮の心を得ることを諦め、既成事実を作ることにする。御息所が承知していたことにするという考えは、亡き人に責任を負わせる身勝手なものである。生真面目な夕霧の恋は、ここで強引な実力行使へと変わる。
夕霧が一条宮を磨いたように整えさせる描写には、夕霧の実務的な能力と、宮を迎える意気込みが表れている。しかし、それは宮の心を無視したものであった。
関連
出典
- 底本
- 丸岡桂・松下大三郎編『国文大観』物語部2(源氏物語 下) 板倉屋書房、明治36年(1903)、796–799頁(コマ109–110)。国立国会図書館デジタルコレクション
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部
- 更新日