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源氏物語 第39帖 夕霧(31)

源氏と紫の上の思い

登場人物:光源氏・紫の上・夕霧・落葉の宮・女一の宮

六条院(源氏)もこの噂を聞いて、夕霧がたいそう大人びて万事を落ち着いて処し、人の非難を受けるところもなく感じよく過ごしているのを、面目に思い、自分が昔少し色めいて浮気な評判を取ったことの名誉回復になると嬉しく思っていたのに、気の毒で、どちらにも心苦しいことがありそうだ、まったく縁のない間柄でもないのに、致仕の大臣などもどう思うだろう、それくらいのことは考えないわけではあるまい、宿世というものは逃れがたいものだ、ともかくも口を出すべきことではないと思う。女の方のためにこそ、どちらにとっても気の毒だと、どうしようもなく聞いて嘆く。紫の上にも、過去や将来のことを思い出しながら、このような例を聞くにつけても、自分が亡くなった後が心配だと思っていることを言うと、紫の上は顔を赤らめて、情けないことに、そこまで私を後に残されるおつもりなのかと思う。女ほど身の処し方が窮屈で哀れなものはない、物の哀れも趣深いことも知らない様子で引きこもっていれば、何によって世に生きる晴れがましさも、無常の世の所在なさを慰められよう、だいたい物の道理も分からず、言うかいのない者になってしまったら、育てた親もたいそう残念なことではないか、心にばかりしまい込んで、無言太子とかいう、法師たちが悲しいことの例にする昔の話のように、悪いことも善いことも知りながら黙って埋もれてしまうのもかいがない、自分の心ながらも、ほどよくはどうして保てるだろうと思い巡らすにつけても、今はただ自分が育てている女一の宮のためを思うのである。

六条院の一室で、源氏が紫の上に夕霧の噂を語り、紫の上が顔を赤らめながら女の身の処し方について思い巡らしている場面(AI生成)
六条院の一室で、源氏が紫の上に夕霧の噂を語り、紫の上が顔を赤らめながら女の身の処し方について思い巡らしている場面
  1. 1六ろく六ろくろく條でう條でうじょう院ゐん院ゐんいんにににももも聞きこ聞きこきこしめししめししめしててていといといとおとなしうおとなしうおとなしゅう萬よろづ萬よろづよろずををを思おも思おもおもひひいしづめしづめしずめ人ひと人ひとひとのののそしりそしりそしり所ところ所ところところなくなくなくめやすくめやすくめやすくててて過す過すすぐしぐしぐし給たま給たまたまふふうをををおもだゝしうおもだゝしうおもだたしゅう我わ我わわがががいにしへいにしへいにしえ少すこ少すこすこしししあざればみあざればみあざればみあだあだあだなるなるなる名な名ななをををとりとりとり給たま給たまたまひひいしししおもておもておもておこしおこしおこしににに嬉うれ嬉うれうれしうしうしゅう覺おぼ覺おぼおぼしししにににたるたるたるををを、、、いとほしういとほしういとおしゅういづいづいず方かた方かたかたにににももも心苦こころぐる心苦こころぐるこころぐるしきしきしき事こと事ことことのののあるあるあるべきべきべきことことことさしさしさしはなれはなれはなれたるたるたるなからひなからひなからいにてにてにてだにだにだにあらあらあらでででおとゞおとゞおとどなどなどなどもももいかにいかにいかに思おも思おもおもひひい給たま給たまたまははわむむん、、、さばかりさばかりさばかりののの事こと事ことことたどらたどらたどらぬぬぬにににはははあらあらあらじじじ、、、宿すく宿すくすく世せ世せせととといふいふいうものものもの遁のが遁のがのがれれれわびわびわびぬるぬるぬる事こと事ことことなりなりなり、、、ともかくもともかくもともかくも口くち口くちくちいるいるいるべきべきべきことことことならならならずずずとととおぼすおぼすおぼす。。。女をんな女をんなおんなのののためためためのみのみのみこそこそこそ何いづ何いづいず方かた方かたかたにににもももいとほしけれいとほしけれいとおしけれとととあいなくあいなくあいなく聞きこ聞きこきこしめししめししめしなげくなげくなげく。。。紫むらさき紫むらさきむらさきののの上うへ上うへうえにににもももきききししし方かた方かたかた行ゆ行ゆゆくくく先さき先さきさきのののことことことおぼしおぼしおぼし出い出いいでででつゝつゝつつかうかうこうやうやうようのののためしためしためしををを聞き聞ききくくくにににつけつけつけてててもももなからなからなからむむん後のち後のちのちうしろめたううしろめたううしろめとう思おも思おもおもひひい聞きこ聞きこきこゆるゆるゆるさまさまさまをををのたまへのたまへのたまえばばば、、、御おん御おんおん顏かほ顏かほかおうちうちうち赤あか赤あかあかめめめててて心こころ心こころこころうくうくうくさささまでまでまでおくらかしおくらかしおくらかし給たま給たまたまふふうべきべきべきにににやややとととおぼしおぼしおぼしたりたりたり。。。
  2. 2女をんな女をんなおんなばかりばかりばかり身み身みみをををもてもてもてなすなすなすさまさまさまももも所ところ所ところところせうせうしょう哀あはれ哀あはれあわれなるなるなるべきべきべきものものものはははなしなしなし。。。物もの物ものものののの哀あはれ哀あはれあわれをををもももをかしきをかしきおかしきことことことをををももも見み見みみ知し知ししらららぬぬぬさまさまさまにににひきひきひきいりいりいりしづみしづみしずみなどなどなどすれすれすればばば何なに何なになににににつけつけつけてててかかか世よ世よよにににふるふるふるはえばえしさはえばえしさはえばえしさももも常つね常つねつねなきなきなき世よ世よよのののつれづれつれづれつれずれをををももも慰なぐさ慰なぐさなぐさむむむべきべきべきぞぞぞははは、、、大おほ大おほおおかたかたかた物もの物ものものののの心こころ心こころこころをををしらしらしらずずずいふかひいふかひいうかいなきなきなきものものものにににならひならひならいたらたらたらむむんもももおほしおほしおおしたてたてたてけむけむけん親おや親おやおやもももいといといと口くち口くちくちをしかるをしかるおしかるべきべきべきものものものにににはははあらあらあらずずずややや、、、心こころ心こころこころにににのみのみのみこめこめこめててて無む無むむ言ごん言ごんごん太たい太たいたい子し子ししとととかかか、、、法ほふ法ほふほう師し師ししばらばらばらののの悲かな悲かなかなしきしきしきことことことにににするするする昔むかし昔むかしむかしのののたとひたとひたといのののやうやうようににに惡あ惡ああしきしきしき事こと事ことこと善よ善よよききき事こと事ことことををを思おも思おもおもひひいしりしりしりながらながらながらうづもれうづもれうずもれなななむむんもももいふかひいふかひいうかいなしなしなし、、、我わ我わわががが心こころ心こころこころながらながらながらもももよきよきよき程ほど程ほどほどにににはははいかでいかでいかでたもつたもつたもつべきべきべきぞぞぞとととおぼしおぼしおぼしめぐらすめぐらすめぐらすにににももも今いま今いまいまはははたゞたゞただ女をんな女をんなおんな一いち一いちいちののの宮みや宮みやみやののの御おん御おんおんためためためなりなりなり。。。

引用の仕方

レポート・論文で引用する場合の表記例です。行番号を選んでから開くと、その行へのリンクになります。

現代語訳

六条院(源氏)でもお聞きになって、夕霧がたいそう大人びて、万事を落ち着いて処し、人の非難を受けるところもなく、感じよく過ごしていらっしゃるのを面目に思い、ご自身が昔少し色めいて、浮気な評判をお取りになったことの名誉回復になると、嬉しくお思いになっていたのに、気の毒で、どちらにも心苦しいことがありそうなことだ、まったく縁のない間柄でもないのに、致仕の大臣などもどうお思いになるだろう、夕霧もそれくらいのことを考えないわけではあるまい、宿世というものは逃れがたいものだ、ともかくも口を出すべきことではないとお思いになる。女の方のためにこそ、どちらにとっても気の毒なことだと、どうしようもなくお聞きになって嘆きなさる。紫の上にも、過去や将来のことをお思い出しになりながら、このような例を聞くにつけても、自分が亡くなった後が気がかりに思い申し上げている様子をおっしゃると、紫の上はお顔を赤らめて、情けないことに、そこまで私を後にお残しになるおつもりなのかとお思いになった。

紫の上は思う。女ほど身の処し方が窮屈で、哀れなものはない。物の哀れも、趣深いことも知らない様子で引きこもって沈んでいたりすれば、何によって世に生きる晴れがましさも、無常な世の所在なさをも慰めることができようか。だいたい物の道理も分からず、言うかいのない者に慣れてしまったら、育て上げた親も、たいそう残念なことではないか。心の中にばかりしまい込んで、無言太子とかいう、法師たちが悲しいことの例にする昔のたとえ話のように、悪いことも善いことも知りながら、黙って埋もれてしまうのも、言うかいのないことだ。自分の心ながらも、ほどよい程度には、どうしたら保てるだろうかとお思い巡らしになるにつけても、今はただ、ご自分が育てている女一の宮の御ためなのである。

意訳

源氏は夕霧の噂を聞いて、面目を失ったと残念がるが、口出しはしない。源氏が自分の死後のことを言うと、紫の上は顔を赤らめる。

紫の上は、女の身の処し方の難しさを思い、育てている女一の宮のために、どう生きるべきかを考える。

語釈・文法注

文法

「おもておこし」(あだなる名をとり給ひしおもておこしに)
面目を取り戻すこと、名誉回復。
「無言太子」(心にのみこめて無言太子とか)
仏典に見える話。生まれてから十三年間口をきかなかった太子。
「女一の宮」(今はたゞ女一の宮の御ためなり)
明石の女御の長女。紫の上が手元で育てている。

解説

源氏は、夕霧の生真面目さを、自分の若い頃の浮名の名誉回復と喜んでいた。その夕霧が恋の噂を立てたことに、源氏は苦笑するが、口出しはしない。源氏の態度には、父としての複雑な思いがにじむ。

紫の上の女の生き方をめぐる思索は、源氏物語の中でも重要な一節である。物の哀れを知らずに引きこもるのも、知りながら黙っているのも、言うかいがない。女の身の処し方の難しさを思う紫の上の言葉には、作者自身の思いが込められているとも言われる。

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出典

底本
丸岡桂・松下大三郎編『国文大観』物語部2(源氏物語 下) 板倉屋書房、明治36年(1903)、794–795頁(コマ108)。国立国会図書館デジタルコレクション
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部
更新日