源氏物語 第37帖 横笛(6)
源氏の思い
月日がたつにつれて、この若君は恐ろしいほど美しく成長するので、源氏は本当に、あのつらいことを皆忘れてしまいそうである。この人が生まれるべき宿縁で、あのような思いがけないことも起こったのだろう、逃れられない定めなのだと、少しは思い直す。源氏自身の宿世にも、やはり満たされないことが多い。大勢集めた夫人たちの中でも、この宮こそは欠けたところのない身分で、宮自身の様子も申し分なくいられるはずだったのに、このように思いもしなかった尼姿で見ることになったと思うにつけ、過去の過ちは許しがたく、やはり残念である。

- 1月月つき日日ひにににそへそへそえてててこのこのこの君君きみのののうつくしううつくしううつくしゅうゆゝしきゆゝしきゆゆしきまでまでまでおひおひおいまさりまさりまさり給給たまふふうににに、、、誠誠まことにににこのこのこのうきうきうきふしふしふし皆皆みなおぼしおぼしおぼし忘忘わすれれれぬぬぬべしべしべし。。。このこのこの人人ひとのののいでいでいでものしものしものし給給たまふふうべきべきべき契契ちぎりにてにてにてさるさるさる思思おもいののの外外ほかののの事事こともももあるあるあるにににこそこそこそはははありありありけめけめけめ、、、遁遁のがれれれがたかがたかがたかなるなるなるわざわざわざぞぞぞかしかしかしととと少少すこしししはははおぼしおぼしおぼしなほさなほさなおさるるる。。。みづからみづからみずからののの御御おんすくせすくせすくせももも猶猶なお飽飽あかかかぬぬぬことことことおほかりおほかりおおかり。。。數數あま多多たつどへつどへつどえ給給たまへへえるるる中中なかにににもももこのこのこの宮宮みやこそこそこそはははかたほかたほかたほなるなるなる思思おもひひいまじらまじらまじらずずず、、、人人ひとののの御御おん有有あり樣樣さまももも思思おもふふうにににあかあかあかぬぬぬ所所ところなくなくなくてててものしものしものし給給たまふふうべきべきべきををを、、、かくかくかく思思おもははわざりざりざりしししさまさまさまにてにてにて見見み奉奉たてまつるるることことことゝゝとおぼすおぼすおぼすにににつけつけつけてててなむなむなん、、、過過すぎぎぎにににししし罪罪つみゆるしゆるしゆるしがたくがたくがたく猶猶なおくちをしかりくちをしかりくちおしかりけるけるける。。。
現代語訳
月日がたつにつれて、この若君が、かわいらしく恐ろしいほどまでに美しく成長なさるので、源氏は本当に、あのつらいことを皆お忘れになってしまいそうである。この人がお生まれになるはずの宿縁で、あのような思いがけないことも起こったのだろう、逃れがたいことなのだよと、少しはお思い直しになる。ご自身の宿世も、やはり満たされないことが多い。大勢集めていらっしゃる夫人たちの中でも、この宮こそは、身分に欠けたところがあるという思いも交じらず、宮ご自身のご様子も、思うに不満なところなくいらっしゃるはずだったのに、このように思いもしなかった尼姿で見申し上げることになったとお思いになるにつけて、過ぎ去った過ちは許しがたく、やはり残念なのであった。
意訳
若君が美しく成長するにつれ、源氏はつらいことを忘れそうになるが、尼となった宮を思うと、過ちはやはり許しがたい。
語釈・文法注
文法
- 「うきふし」(誠にこのうきふし皆おぼし忘れぬべし)
- つらいこと。宮と柏木の密通を指す。前の場面の「うきふしも忘れずながら」の歌を受ける。
- 「かたほ」(かたほなる思ひまじらず)
- 不完全なこと、欠けたところがあること。
- 「過ぎにし罪」(過ぎにし罪ゆるしがたく)
- 過去の過ち。宮と柏木の密通。
解説
若君の成長は、源氏の心を和らげる。源氏は、若君が生まれるための宿縁として、宮の過ちも起こったのだと思い直そうとする。運命として受け入れることで、源氏は自分の心を慰めようとしている。
しかし、尼姿の宮を見るにつけ、源氏はやはり過ちを許すことができない。最も高貴な身分の妻を迎えながら、このような結果になったことが、源氏には残念でならない。源氏の宿世の満たされなさが、ここに凝縮されている。
関連
出典
- 底本
- 丸岡桂・松下大三郎編『国文大観』物語部2(源氏物語 下) 板倉屋書房、明治36年(1903)、746–747頁(コマ84)。国立国会図書館デジタルコレクション
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部
- 更新日