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源氏物語 第35帖 若菜下(20)

紫の上へのねぎらい

登場人物:光源氏・紫の上・女三の宮・夕霧

源氏は対の屋に戻るが、紫の上は寝殿に残って女三の宮と話をし、明け方に戻る。二人は日が高くなるまで休む。源氏が宮の琴はずいぶん上手になったと言うと、紫の上は、初めの頃にほのかに聞いた時はどうかと思ったが、たいそう上達した、あれほど熱心に教えれば当然だと答える。源氏は、手を取って教える確かな師匠だったと言い、面倒なので誰にも教えなかった琴を、院や帝が宮には習わせているだろうと言うのが気の毒で、後見として預けられたしるしにと、思い立って教えたのだと語る。そして、紫の上を幼い頃から育てた頃は暇がなく、取り分けて教えることもなかったが、その後も紛れて過ごしたのに、聞かせたこともない和琴が見事な出来ばえで面目を施し、夕霧が驚いていたのも嬉しかったと言う。紫の上は、今は宮たちの世話なども大人らしく行い、何事にもたどたどしいところがない。源氏は、このように何もかも備わった人は、世に長くは生きられない例もあると、不吉なまでに案じる。多くの女性を見てきた源氏にとって、紫の上ほど何もかも整った人はいないと思うのだった。

女楽の翌朝、日の高くなった六条院の対の屋で、源氏と紫の上がくつろいで語り合い、源氏が紫の上を慈しむように見つめている場面(AI生成)
女楽の翌朝、日の高くなった六条院の対の屋で、源氏と紫の上がくつろいで語り合い、源氏が紫の上を慈しむように見つめている場面
  1. 1院ゐん院ゐんいんははは對たい對たいたいへへへわたりわたりわたり給たま給たまたまひひいぬぬぬ。。。うへうへうえはははとまりとまりとまり給たま給たまたまひひいててて、、、宮みや宮みやみやににに御おん御おんおん物語ものがたり物語ものがたりものがたりなどなどなど聞きこ聞きこきこえええ給たま給たまたまひひいててて曉あかつき曉あかつきあかつきにににぞぞぞ渡わた渡わたわたりりり給たま給たまたまへへえるるる。。。日ひ日ひひ高たか高たかたこうううなるなるなるまでまでまで大おほ大おほおお殿との殿とのとのごもれごもれごもれりりり。。。「「「宮みや宮みやみやののの御おん御おんおん琴こと琴ことことののの音ね音ねねはははいといといとうるせくうるせくうるせくなりなりなりにににけりけりけりななな。。。いかゞいかゞいかが聞き聞ききききき給たま給たまたまひひいししし」」」ととと聞きこ聞きこきこえええたまへたまへたまえばばば、、、「「「初はじ初はじはじめめめつかたつかたつかたあなたあなたあなたにてにてにてほのほのほの聞き聞きききききしししはははいかにいかにいかにぞぞぞやややありありありしししををを、、、いといといとこよなくこよなくこよなくなりなりなりにににけりけりけり。。。いかでいかでいかでかはかはかはかくかくかくことことことごとごとごとなくなくなく敎をし敎をしおしへへへ聞きこ聞きこきこえええ給たま給たまたまははわむむんにににははは」」」ととといらへいらへいらえ聞きこ聞きこきこえええ給たま給たまたまふふう。。。「「「さかしさかしさかし、、、てててをををとるとるとるとるとるとる覺おぼ覺おぼおぼ束つか束つかつかなからなからなからぬぬぬ物もの物ものものののの師し師ししなりなりなりかしかしかし。。。此これ此これこれ彼かれ彼かれかれにににもももうるさくうるさくうるさく煩わづら煩わづらわずらはしくはしくわしくててていといといとまままいるいるいるわざわざわざなれなれなればばば敎をし敎をしおしへへへ奉たてまつ奉たてまつたてまつらららぬぬぬををを、、、院ゐん院ゐんいんにににももも內うち內うちうちにににもももきんきんきんはははさりともさりともさりとも習なら習ならならはしはしわし聞きこ聞きこきこゆゆゆらむらむらんとととのたまふのたまふのたまうととと聞き聞ききくくくがががいとほしくいとほしくいとおしく、、、さりともさりともさりともさばかりさばかりさばかりののの事こと事ことことをををだにだにだにかくかくかく取と取ととりりりわきわきわきててて御おん御おんおんうしろみうしろみうしろみにににとととあづけあづけあずけ給たま給たまたまへへえるるるしるししるししるしにににはははととと、、、思おも思おもおもひひい起おこ起おこおこしししてててなむなむなん」」」などなどなど聞きこ聞きこきこえええ給たま給たまたまふふうついでついでついでにににももも「「「昔むかし昔むかしむかし世よ世よよづかづかずかぬぬぬ程ほど程ほどほどをををあつかひあつかひあつかい思おも思おもおもひひいしししさまさまさま、、、そのそのその世よ世よよにににはははいとまいとまいとまもももありがたくありがたくありがたくててて、、、心こころ心こころこころ長閑のどか長閑のどかのどかににに取と取ととりりりわきわきわき敎をし敎をしおしへへへ聞きこ聞きこきこゆるゆるゆることことことなどなどなどもももなくなくなく、、、近ちか近ちかちかききき世よ世よよにににももも何なに何なになにとととなくなくなく次つぎ次つぎつぎ々つぎ々つぎつぎまぎれまぎれまぎれつゝつゝつつすぐしすぐしすぐしててて、、、聞き聞きききききあつかはあつかはあつかわぬぬぬ御おん御おんおん琴こと琴ことことのののねねねののの、、、いでいでいでばえばえばえしししたりたりたりしししももも面めん面めんめんぼくぼくぼくありありありててて、、、大だい大だいだい將しやう將しやうしょうのののいたくいたくいたく傾かた傾かたかたぶきぶきぶき驚おどろ驚おどろおどろきききたりたりたりししし氣色けしき氣色けしきけしきももも思おも思おもおもふふうやうやうようににに、、、嬉うれ嬉うれうれしくしくしくこそこそこそありありありしかしかしか」」」などなどなど聞きこ聞きこきこえええ給たま給たまたまふふう。。。
  2. 2かやうかやうかようのののすぢすぢすじももも今いま今いまいまははは又また又またまたおとなおとなしくおとなおとなしくおとなおとなしく宮みや宮みやみや達たち達たちたちののの御おん御おんおんあつかひあつかひあつかいなどなどなど取と取ととりりり持も持ももちちちてててししし給たま給たまたまふふうさまさまさまもももいたらいたらいたらぬぬぬことことことなくなくなく、、、すべてすべてすべて何事なにごと何事なにごとなにごとにににつけつけつけてててももももどかしくもどかしくもどかしくたどたどしきたどたどしきたどたどしきことことことまじらまじらまじらずずず、、、ありがたきありがたきありがたき人ひと人ひとひとののの御おん御おんおん有樣ありさま有樣ありさまありさまなれなれなればばばいといといとかくかくかく具ぐ具ぐぐしししぬるぬるぬる人ひと人ひとひとははは世よ世よよににに久ひさ久ひさひさしからしからしからぬぬぬためしためしためしもももあああなるなるなるをををととと、、、ゆゝしきゆゝしきゆゆしきまでまでまで思おも思おもおもひひい聞きこ聞きこきこえええ給たま給たまたまふふう。。。さまざまさまざまさまざまなるなるなる人ひと人ひとひとののの有樣ありさま有樣ありさまありさまををを見み見みみ集あつ集あつあつめめめ給たま給たまたまふふうまゝまゝままににに、、、取と取ととりりり集あつ集あつあつめめめたらひたらひたらいたるたるたることことことははは、、、誠まこと誠まことまことにににたぐひたぐひたぐいあらあらあらじじじとととのみのみのみ思おも思おもおもひひい聞きこ聞きこきこえええ給たま給たまたまへへえりりり。。。

引用の仕方

レポート・論文で引用する場合の表記例です。行番号を選んでから開くと、その行へのリンクになります。

現代語訳

院(源氏)は対の屋へお帰りになった。上(紫の上)は寝殿にお残りになって、宮にお話などを申し上げなさって、明け方にお戻りになった。お二人は日が高くなるまでお休みになっていた。源氏が、「宮の御琴の音は、たいそう上手になったね。どうお聞きになったか」と申し上げなさると、紫の上は、「初めの頃、あちらでほのかに聞いたのは、どうかと思われましたが、たいそうこの上なく上手になりましたね。どうして上手にならないことがありましょう、あのように他のことはさておいてお教え申し上げなさるのでは」とお答え申し上げなさる。源氏は、「そうだよ、手を取り取り教える、確かな師匠なのだよ。誰にも、面倒で煩わしくて手間のかかることなので、お教え申し上げなかったのだが、院(朱雀院)にも帝にも、『琴はそれでも習わせ申し上げているだろう』とおっしゃっていると聞くのが気の毒で、せめてそれくらいのことでも、このように取り分けて、後見としてお預けになったしるしにはと、思い立ってね」などと申し上げなさるついでにも、「昔、あなたがまだ世慣れない頃をお世話しようと思っていた様子は、その頃は暇もめったになくて、のんびりと取り分けてお教え申し上げることなどもなく、近年も何となく次々と紛れて過ごして、お聞きしたこともないあなたの御琴の音が、見事な出来ばえだったのも面目が立って、大将がひどく首をかしげて驚いていた様子も、思いどおりで、うれしかった」などと申し上げなさる。

このような音楽の方面も、今はまた大人らしく、宮たち(女御の皇子たち)のお世話などを引き受けてなさる様子も行き届かないことがなく、すべて何事につけても、もどかしくたどたどしいことがまじらない、めったにない人のご様子なので、源氏は、「たいそうこのように何もかも備わった人は、世に長くは生きない例もあるそうだから」と、不吉なまでにお思い申し上げなさる。さまざまな人の様子を見てこられたにつけても、何もかも取りそろえて満ち足りていることでは、本当に比類があるまいとばかりお思い申し上げていらっしゃった。

意訳

女楽の翌朝、源氏と紫の上は宮の琴の上達を語り合い、源氏は紫の上の和琴の見事さを喜ぶ。

源氏は、何もかも備わった紫の上は長生きできないのではと、不吉なまでに案じる。

語釈・文法注

文法

「うるせし」(宮の御琴の音はいとうるせくなりにけりな)
上手だ、行き届いている。
「いでばえ」(いでばえしたりしも面ぼくありて)
出栄え。人前に出た時の見栄え、出来ばえ。
「ためしもあなる」(世に久しからぬためしもあなるを)
「あるなる」の撥音便「あんなる」の「ん」が表記されない形。「例もあるそうだから」。

解説

女楽の翌朝の二人の会話は、穏やかで親密である。源氏は紫の上の和琴を心から喜び、紫の上も宮の上達を素直に認める。しかし源氏の「いとかく具しぬる人は世に久しからぬためしもあなる」という不安は、すぐに現実のものとなる。

「ゆゝしきまで思ひ聞え給ふ」という言葉は、若菜上の巻でも、源氏が紫の上への愛情の深まりを不吉に感じる場面で用いられた。何もかも満ち足りた状態は、かえって崩壊の前触れであるという考えが、物語の底に流れている。

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出典

底本
丸岡桂・松下大三郎編『国文大観』物語部2(源氏物語 下) 板倉屋書房、明治36年(1903)、676–679頁(コマ49–50)。国立国会図書館デジタルコレクション
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部
更新日